ザスーラ
監督:ジョン・ファヴロー
出演:ジョシュ・ハッチャーソン/ジョナ・ボボ/ダックス・シェパード/クリステン・スチュワート/ティム・ロビンス/フランク・オズ
30点満点中16点=監3/話3/出3/芸3/技4
【謎のゲームに巻き込まれた少年たちは地球に生還できるか?】
甘えん坊の弟ダニーは、2人用の古い双六型ボードゲーム『ザスーラ』を地下室で見つける。イジワルで大人ぶった兄ウォルターは相手にしようとしなかったが、ダニーがゲームのボタンを押すと、ルーレットが回り、駒が進み、「彗星」と書かれた紙が吐き出され、ホントに隕石が降り注ぐ。このピンチから脱出するためには、ゲームを進めてクリアするしかない。突然現れた宇宙飛行士や姉のリサを巻き込んで、ふたりの大冒険が始まる。
(2005年 アメリカ)
【安心して観られるファミリー・ムービー】
スピーカーをサラウンドにして初めて観たのが『ジュマンジ』(ジョー・ジョンストン監督)。「怖いから切れ」と妻はいった。意味ないじゃん。
で、DVDプレーヤーを買い換えて初の視聴が、姉妹編ともいえる本作。隕石だの爆撃だのロボット襲来だの、相変わらず音は派手だ。
プレーヤーとTVの相性のせいか、全体に映像がスッキリしてデジタルっぽさが強すぎる感じ。この状態で『ジュマンジ』を観るとサイあたりのCGに粗さが目立ってしまうかも知れない。
デジタルっぽさ=作り物っぽさ、ともいえるか。ニスの匂いがしそうな家や凍ったバスルーム、広がる宇宙空間、宇宙船など、いかにも今風の「スタジオとコンピュータの中で作りました」という絵。舞台が実質、家の中(セット)だけという世界の狭さも、作り物っぽさを助長する。
が、ファミリー向けサスペンス・ファンタジーと考えるなら、この狭さと作り物っぽさは「あくまでも作り話ですから」という空気につながり、それが親近感に変わって、かえって吉だったかも知れない。
また『ジュマンジ』はロビン・ウィリアムスのキャラクターに結構引っ張られている感があったが、今回はキャスティングに派手さがなく、それも親近感を呼んでいる。クセ者ティム・ロビンスは出てるだけ。ダニー役ジョナ・ボボはナチュラルで可愛いし、ウォルターのジョシュ・ハッチャーソンも自分の役割をまっとうしているし、宇宙飛行士のダックス・シェパードはフツー。あ、クリステン・スチュワートって『パニック・ルーム』(デヴィッド・フィンチャー監督)の娘か、キレイになったじゃん。フランク・オズの起用も贅沢かつユーモラスだけれど、あくまで隠し味。
つまり「フツーの家庭に起こった、とんでもない出来事」という雰囲気が、なかなかよく出ているのだ。
そのあたりも含めて、やりたかったことをきっちりやり通した作品であると感じる。要するに、やっぱりファミリー向けサスペンス・ファンタジーなのだな。わけのわからない状況下でわけのわからないことが次々と起こり、笑いとハラハラを重視しつつ、ゲームを進めるうちに大切なことに気づく主人公たち。ドタバタの中に、わかりやすいほどのメッセージ。宇宙飛行士に関する仕掛けはすぐに読めちゃうんだけれど、それはきっちりしっかり作られている証でもあり、ある意味、安心して家族で観られる内容と仕上がりだといえるだろう。
ただ、全体的な緩急のつけかたや序章から本編へのお話の持って行きかたなどに関しては『ジュマンジ』の方が明らかに上だろう。
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