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2007/01/25

28DAYS

監督:ベティ・トーマス
出演:サンドラ・ブロック/ヴィゴ・モーテンセン/ドミニク・ウェスト/エリザベス・パーキンス/アズーラ・スカイ/レニ・サントニ/アラン・テュディック/スティーヴ・ブシェミ

30点満点中17点=監4/話3/出4/芸3/技3

【酒とドラッグに溺れた女性が、更生施設で過ごす28日】
 NYでライターをするグエンは、酒とクスリ漬けの日々を送っていた。たったひとりの肉親である姉の結婚式にも二日酔いで遅刻、恋人のジャスパーとともに酔って、披露宴バーティーをめちゃめちゃにしてしまう。無軌道な振る舞いが祟って、遂には裁判、中毒者更生施設で28日間過ごすことに。最初はルールを破ってばかりのグエンだったが、さまざまな中毒患者と接するうちに、人としての生きかたを考え始めるようになる。
(2000年 アメリカ)

【軽くて、重い、そんな映画】
 28日間で人が変われるはずなどない。いや「落ちぶれる」という変化は一瞬にして訪れるけれど「持ち直して真っ当になる」ためには、もっともっと時間が必要だろう。
 それに、ジャスパーのいうことも正論である。人生は短く、しかも楽しさを謳歌できる期間はわずか。憂さ晴らしの方法がたまたま酒というだけで、趣味や子育てに情熱を傾けるのと変わりはない、何が悪いのか。たがいに迷惑をかけあうのが人というものだ。

 そのうえで「違う違う、そうじゃない」と感じなければ、それこそ人間として落ちぶれているというものだ。
 単に嫌な顔をされるだけならまだいいが、他人の心に深く傷を負わせてしまうことだってありうる。自分に憧れている人に(しかも「憧れられる」ことを望んでいたのに)落胆を与えてしまうことも。挙句には自分自身にも失望と傷を強いてしまい、自分自身を死に追いやってしまうという最悪の結果だって考えられる。
 それを避けるためには、何が必要か。決して「迷惑をかけあうのが人」などとうそぶくことではなく、「私は弱い、あの人も弱い、だからこそ助けあう、それが人」と自覚することが大切であるはずだ。
 28日という期間は問題にならない。「違う違う、そうじゃない」「私だって変われるんだ」「助けあわなければ」と思い込めるかどうか、そのために用意された出会いや別れや経験を真摯に受け止められるかどうか、「人間に戻るために人間扱いされない」という境遇に置かれてどう感じるのか、そこから「じゃあ、こう振る舞おう」という進路を見出せるか、それだけの力が自分の中に残されているか、そういったことが肝心だ。
 自分を見つめ直し、他人を思いやり、ひとつひとつのことと真剣に向き合う。そこから「人としての生きかた」が始まるんである。

 そうしたことを、コメディ仕立てで軽快に、本当は傷だらけのサンドラ・ブロックを可愛らしく描いて、見やすい映画にしながらも、じっくりと考えさせる作品だ。

 ただ、この手のストーリーに触れるたびに、やっぱりどうしても考えてしまう。どこからどこまでが“まとも”で、どっから先が社会に順応できない異常な行動・性格なのか、と。
 自分をコントロールできないことは異常なのか。お粗末な昼ドラにハマるのは正常なのか。グエンの姉リリーのように、屈辱やトラウマを「人に勝つこと」へと転化する行為は正常なのか。
 線引きなど、誰にもできないはずだ。
 けれどだからこそ、自分を見つめ直し、他人を思いやり、ひとつひとつのことと真剣に向き合って、自分なりの“まとも”を確定させ、人に迷惑をかけないように気を配ったり、人と助けあったり、いわば「他人が考える“まとも”と自分の“まとも”との摺りあわせ」が必要なのだろう。
 生きるって、難しい。

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