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2007/02/18

ジャーヘッド

監督:サム・メンデス
出演:ジェイク・ギレンホール/ピーター・サースガード/ジェイミー・フォックス/ブライアン・ジェラティ/ルーカス・ブラック/スコット・マクドナルド/クリス・クーパー/デニス・ヘイスバート

30点満点中18点=監4/話3/出3/芸4/技4

【砂漠での日々、これが僕の戦争】
 1989年、海兵隊員=ジャーヘッドに志願したスウォフォード。折しもイラクがクウェートに侵攻し、米軍が湾岸地域へ派遣されることになる。斥候狙撃兵に抜擢されたスウォフォードも、サイクス三等曹長に率いられ、相棒のトロイ、ファーガス、クルーガーらとともに砂漠へ。だがそこで待っていたのは“待機”するだけの日々。水分を補給し、マスをかき、訓練で汗を流し、退屈を紛らわせ、また水分を補給する。焦燥だけが募っていく。
(2005年 アメリカ)

【アメリカが作る戦争映画に、アメリカを感じる】
 ベトナムや湾岸などの近代戦争は映画の1ジャンルとして米国に定着しているわけだが、日本をはじめとする他国において、このジャンルの傑作が生まれ得ないのは、単に「アメリカほど当事者ではない」「アメリカほどには戦争を経験していない」ことだけが理由ではなくて、やっぱり才能というか、「いい作品に仕上げるためにはココとココに力を入れなくちゃ」という覚悟の差なんだと思う。

 エンドクレジットを見る限り、アリゾナやメキシコで撮影されたのだと思う。戦車や兵器は当然大半が作り物だろうし、バックでうろちょろする兵士たちはエキストラのはずだ。だけれど、いやもう「アラビア半島の砂漠地帯に集結した米軍」にしか見えないのだ。
 広大な砂漠をまず見せて「どこで話が進むのか」というイメージをハッキリと焼きつける。5000人派遣されたなら5000人に見えるよう兵隊役を進軍させる。地平線の彼方にある油田から煙は立ち上るし、夕焼けはキレイだし、戦車は吹っ飛ぶし、弾薬は惜しげもなく宙を舞うし、油は降り注ぐし……。
 こうしたリアリティあるディテールが、映画を“確かなもの”にするのだ。お台場あたりを軍艦がうろちょろしている絵を観せられても「ふ~ん」くらいにしか感じないが、本作は否応なく観客を半島へと連れて行く。
 プロダクション・デザインは『ビッグ・フィッシュ』で極彩色の、『レディ・キラーズ』ではセピアの世界を作り出したデニス・ガスナー。
 撮影は『ヴィレッジ』で立体感を、『デッドマン・ウォーキング』で「いま画面の中で起きていること」を意識させる絵作りを見せたロジャー・ディーキンス。
 こうした才能がハリウッドには満ちているからこそ、そこで作られた映画は映画になるのだ。

 暴力的なカットと淡々とした独白、耐える日々と陽気な音楽、迷彩色に身を包んだ兵士と真っ赤なコスチュームのCA。そのギャップもまた、かえってキリキリとした空気を醸し出す。「何も起こらない」という大事件が発生していることを、クッキリと描き出す。

 そうした“形”の中には、もちろんメッセージも詰め込まれている。
 戦争とは耐えること。敵以外にも敵がいるという皮肉。砂漠へ出かけているのに、そこを“内側”と感じてしまう皮肉。そして、場所がベトナムだろうが湾岸だろうが、指揮官が中佐だろうが総統だろうが、人を殺そうが殺すまいが、戦争は戦争だという明らかな現実。
 これらのメッセージもまた、年じゅう戦争をしているアメリカならではのものだろう。

 さまざまな意味で「彼の国でしか作られ得ない映画」を観せられた気分である。

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2005年 アメリカ 2006年2月公開 評価:★★★★ 監督:サム・メンデス [続きを読む]

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