世界で一番パパが好き!
監督:ケヴィン・スミス
出演:ベン・アフレック/ラクエル・カストロ/リヴ・タイラー/ジョージ・カーリン/ジェニファー・ロペス/ジェイソン・ビッグス/スティーヴン・ルート/マイク・スター/マット・デイモン
30点満点中17点=監4/話3/出4/芸3/技3
【娘が大事? それとも仕事が大切?】
NYで腕利き宣伝マンとして活躍するオリー。ところが生まれたばかりの娘ガーティを男手ひとつで育てなければならなくなって大忙し、おかげで仕事で取り返しのつかないミスを犯してしまう。もちろんクビ、仕方なく故郷のニュージャージーへと戻り、世界一のパパになると決意、父のバートとともに市役所の雑用をこなしながら子育てに励む。7年が経ち、ガーティも小学生に成長。だがオリーは、NY暮らしへの未練を捨て切れないでいた。
(2004年 アメリカ)
【ちっちゃくて可愛らしい映画】
「登場人物も少ないし、舞台も限られた範囲。ちっちゃい映画ですよね」
「その小ささゆえにチャーミングな雰囲気が増している。だいたい、社会の最小構成単位=家族がテーマで、しかもパパと娘という関係をフィーチャーしているんだから、無理に風呂敷を広げる必要なんてないよ」
「映画的なスケールや楽しさにも乏しいように思います」
「確かにね。ただ、NYの街の色合いの美しさとか、お説教や水道管工事といった伏線を生かしたりとか、妊娠を知るシーンで無駄なセリフを省いたりとか、1本の映画としてスッキリと仕上げるコツみたいなものは感じたよ」
「ストーリーは、ハッキリいってベタですよね。子どものおかげでミスを犯したり、子どもとの約束の日と仕事が重なったり」
「うん。もうベタベタ。ラストも読める。父の日とか子どもの日のスペシャルTVドラマくらいのデキ。でもね、ちゃあんとテーマが伝わってくるのがいい」
「子作り推奨映画。どこかの大臣が喜びそう」
「というより、人生の選択によって得られるものと失うもの、といったところかな。オリーは結婚&子どもをもうけることによって、6時までには家に帰らなくちゃいけないといった制限を与えられる。バリバリと仕事をして出世するチャンスを失うわけだ」
「それに対して得られたものは、もちろんガーティ」
「冒頭、教室のシーンでさ、机の下のガーティの足がアップになるでしょ。床につま先までしか届いていないんだよ。なんてことはないカットだけれどむちゃくちゃ可愛い」
「ほかにも、お祖父さんの友だちのおじさんたちを大切にするところとか、ちょっと“こまっしゃくれた”性格とか、トイレの水を流すのを忘れがちなところとか、ガーティの可愛さがクローズアップされますね」
「極めつけは学芸会の、あの笑顔ね」
「この子、よく見つけてきましたよね。ベン・アフレックとジェニロペの子だっていわれると、納得しちゃいますもん」
「こういう宝物を『得る』という選択をしたのは、ほかならぬオリーであるわけだ。その責任を果たしなさいよ、得たものの素晴らしさを十分に楽しみなさいよ、というお話だと思う」
「つまり、一応は親子が主人公だけれど、生きかたについてのもっと根源的なことを扱っている、と」
「誰もが選択によって新しいものを得られる、どんなストーリーだろうが自分の人生の主役は自分でしかない、と同時に誰かの人生の脇役を演じることもできる、といったことが感じられるよね」
「不満点はナシ?」
「いや、あまりにヒネリがなさすぎ、ストレートすぎるからワクワクするような“楽しさ”は少ないと思う。オリーが演説するところなんか、まるまる誤魔化しちゃってるのも気に入らないしね。でも、ちっちゃくって可愛い映画ということと、ガーティ自身のキュートさで憎めない作品になっている。ラジー賞ネタにされるほどヒドイ映画だとは思わないよ」
「まぁ『Papa told me』(作・榛野なな恵)の大ファンですからね。こういう題材には点数や評価も甘めになるんでしょ」
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