プレッジ
監督:ショーン・ペン
出演:ジャック・ニコルソン/ロビン・ライト・ペン/アーロン・エッカート/ポーリン・ロバーツ/ヘレン・ミレン/トム・ヌーナン/ヴァネッサ・レッドグレーヴ/ミッキー・ローク/ハリー・ディーン・スタントン/ベニチオ・デル・トロ/サム・シェパード
30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4
【果たさなければならない、その誓い】
刑事ジェリーの退職の日に起きた、少女殺人事件。容疑者はすぐに逮捕されるが、警官の拳銃を奪って自害してしまう。事件に引っかかりを感じたジェリーは、被害者の母と交わした「魂に賭けて真犯人を逮捕する」という誓いを胸に、独自に捜査を開始。やがて彼は、付近で過去にも同様の殺人事件が発生していた事実をつかむが、かつての相棒や署長はいい顔をしない。引き下がれないジェリーは、犯してはならない“罪”に踏み入るのだった。
(2001年 アメリカ)
【たっぷりと深く、そして立体的に】
たっぷりすぎるくらいの時間をかけて描き出される、ジェリーの日々。ストーリーとしては、大きなふくらましや枝葉はなく、かなりシンプルなものといえるだろう。ジェリーが決定的なファクターもなく事件に不信感を抱くというのも、少々強引に思える。
それでも退屈にならないのは、やはり役者の力か。ジャック・ニコルソンはもとより、ロビン・ライト・ペン、ヴァネッサ・レッドグレーヴらが力の入った、けれど力みすぎない芝居で惹きつける。
ベニチオ・デル・トロなんか「あっ、デル・トロじゃん!」と気づくまでに5分くらいかかるし。ヘレン・ミレンとかハリー・ディーン・スタントンとか、ちょっとした役まで妙に豪華。
役者がメガホンを持つと、こうやって各人の演技や存在感を大切にした撮りかたになるのだなぁ、と思わせる。
でも、芝居に頼っているばかりじゃない。いつもその窓から町を見下ろしていたんだね、ジェリー。退職の日にそういう損な役目を買って出る人なんだね、あんたは。8歳9歳の女の子って、そうやって広いお家で遊ぶんだ。そんなふうに細かな出来事・情景を積み重ねて、人物に厚みを加えていくことも忘れない。
そして、画面の立体感。鏡やガラスへの映り込みを利用したり、人と人との間、モノとモノとの間に別の人やドアや道路を置いたりして、そこが立体的な広がりを持つ空間であることを意識させる。
BGMの使いかたや、その空間に流れている雑音の拾いかたも上手くて、細部にまで気を配った演出だと感心させる。
が、まさかそんな風に観ている者を裏切るとは……。
いや、ジェリーの日々を描くための映画だとすればこういう締めかたもアリなんだろうけれど、にしても、ここまでシニカルに突き放してお話を終わらせ、観客にカタルシスを与えないストーリーっていうのは、後味が悪い。
それが作品をダメにしているとはいわない。それを描くために撮られた作品といえるのだろう。が、まったく別のハッピーなシナリオで、ショーン・ペンに撮らせたいなぁと感じたのも確かだ。
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