友へ チング
監督:クァク・キョンテク
出演:ソ・テファ/ユ・オソン/チャン・ドンゴン/チョン・ウンテク/キム・ボギョン
30点満点中17点=監4/話3/出4/芸3/技3
【4人の結びつきは、あまりに強すぎた】
サンテク、ジュンソク、ドンス、ジュンホ。小学生の頃から幼なじみである4人は、高校に入っても他校の生徒と喧嘩を繰り返す日々。優等生のサンテクとお調子者のジュンホは大学へと進むが、ヤクザの親分の息子ジュンソクと、葬儀屋の息子で腕っ節に自信を持つドンスは、刑務所暮らしも経験し、当然のように裏社会へと身を投じる。やがて、対立する組織で頭角を現すジュンソクとドンスは、後戻りのできない関係へと追い込まれていく。
(2001年 韓国)
【思わず関西弁】
このDVDな、何がエエゆうて音声を関西弁に切り替えられるとこやね。なんや、かなり荒っぽいプサン方言+隠語と喧嘩用語満載の映画やから、こういう仕様にしたらしい。
イントネーションの怪しいモンもおるけど、微妙な間(ま)とか言い回しとか、口の中で舌を回す感じとか、もうネイティヴやないとでけへんセリフがゴっロゴロ。特にジュンソクの声をあてた古田新太な。映画の吹替え史上に残るベストマッチと演技やろ。
そのジュンソクを演ったユ・オソンの凄み(ハッキリいうたら、こいつの存在がイコールこの映画のクライマックスやな)とか、学生服姿がミョーに可愛いチャン・ドンゴンのドンス、真面目なように思えてどっか「オレなんか何者でもないやん」ってゆうヒガミが見えるサンテク役ソ・テファ、そばにおったらイライラするやろなぁて思わせるジュンホのチョン・ウンテク、このキャスティングとそれぞれの演技も極上やね。
せやねん、たぶん韓国でも日本でも、釜山でも大阪でも、70年代にはこういう4人組がゴロゴロおったんや。
頭のほうで描かれる悪ガキらの日常。強がることが強いことやと勘違いしてるアホどもの哀しさ。せやけどホンマはこいつらの心根は弱いんやっていうことが、目を伏せるとこからわかる。どいつもタバコの灰をポンポンとせんと、燃え尽きて落ちるに任せてるとこからは、こいつらが勝手にボロボロと社会から落伍していく存在やゆうことがわかる。
脅迫の手口をいちいち説明せえへんスマートさもあるし、道路でサカナがピチピチ跳ねるとこなんか「うわぁ」て思わせるし。最後の面会シーンでサンテクとジュンソクが交わす意味のない会話なんか、めっちゃリアルやし。
意識的なローアングル、スローモーション、雨……ってベタなとこもあるけど、関西人にしか読み取られへん吹替えの微妙さとおんなじように、演出・脚本の微妙な味わいもぎょうさんある映画やな。
まぁ、4人の心のつながりは描きかたが不十分で「親旧(チング)て要するにソウルメイトのことやろ。つるんでオンナ引っ掛けたりケンカしたりするだけで親旧とはいわへんのちゃうか」とも思うけど、それに目ぇつぶったらなかなかオモロイ映画やね。
って待ちぃな、そこがこの映画のテーマやん。“つながり”が描けてへんかったらあかんやんっ! ま、関西弁に免じて許しといたろ。
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