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2007/04/11

シャロウ・グレイブ

監督:ダニー・ボイル
出演:ユアン・マクレガー/ケリー・フォックス/クリストファー・エクルストン/ケン・ストット/キース・アレン/コリン・マクレディ/ジョン・ホッジ/ピーター・ミュラン/レオナルド・オマリー

30点満点中16点=監3/話3/出4/芸3/技3

【浅はかな犯罪が招く、危機、そして……】
 グラスゴーの広いアパート、ルームシェアリングをして暮らす新聞記者のアレックス、医師のジュリエット、会計士のデビッド。奔放な3人は4人目のルームメイトを募集し、作家を名乗るヒューゴを招き入れる。だが入居直後、彼は薬物によるショック死を遂げる。その部屋に残されていたのは、トランク一杯に詰められた札束。3人は大金を手に入れるため、ヒューゴの死体をバラバラに切断して山に埋め、クルマを海に沈めるのだが……。
(1994年 イギリス)

【コンパクトな佳作。が、もっとコッテリしていてもよかった】
 原題は「浅い墓穴」の意、と同時に「浅はかな自滅」というダブル・ミーニングにもなっているようだ。
 深い考えもなしに犯罪へと走った若者たちが自滅していく様子をストレートに描いた作品。彼らの浅はかさ、根拠もなく「俺たちに不可能はない」と思い込んでいる増長ぶりを、たとえばタバコの煙の吐き出しかた、酒の飲みかた、内向的で気取ったセリフなどで示す。
 要するにコイツら、頭はいいかも知れないが賢くはないのだ。そのあたりを大仰に表現するのではなく“ちょっとしたニュアンス”で描写しているのが上手い。

 お話の大半がアパートの中の出来事なので、舞台劇っぽさ、TVドラマっぽさは残るのだが、いっぽうで、色使い、階段を上から下から捉えるアングル、たびたび挿入されるフラッシュバック、札束の見せかたや金の在り処を吐くタイミング、説明の省略など、見た目とテンポの映画っぽさも十分。
 血や残虐シーンを必要最小限にとどめながら、キャッシュ・ディスペンサーでの襲撃、ドサリと落ちる死体など、ブラックでヒリヒリした“無機質な怖さ”を存分に詰め込んである。
 全体に、きっちり上手にコンパクトにまとめたな、という印象。ワンアイディアを淡々と形にしただけの作品で、傑作とはいえないし高い点数も与えにくいけれど、佳作とは呼べる映画だ。

 ただ、そのコンパクトさが、良さと同時に悪さともなっている
 90分はダレることなく観られる適正な長さだし、過不足ない映画に仕上がっているとも思うが、テーマを考えればもう少しコッテリズルズルと語ってもよかっただろう。人間が生物的にも社会的にも壊れていく様を、飽きさせずに積み重ねていくことだって可能なはずだ。
 NHKの夜10時、1時間×4本、木村拓哉、緒川たまき、武田真治あたりでドラマ化すれば、意外と面白そう、なんて思ったりして。

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