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2007/04/09

イーオン・フラックス

監督:カリン・クサマ
出演:シャーリーズ・セロン/マートン・ソーカス/ジョニー・リー・ミラー/ソフィー・オコネドー/アメリア・ワーナー/ピート・ポスルスウェイト/フランシス・マクドーマンド

30点満点中15点=監2/話2/出4/芸4/技3

【反政府組織の女性闘士イーオンの過去に秘められた謎】
 ウイルスが蔓延し、人類の大半が死亡。科学者グッドチャイルドが開発したワクチンによって生き延びた500万人は、グッドチャイルド家が支配する都市ブレーニャで暮らすこと400年が経過していた。反政府組織モニカンの女性闘士イーオンは、グッドチャイルド家の領主トレヴァーを暗殺するという使命を与えられるが、銃を前にしたトレヴァーは、なぜか彼女を「キャサリン」と呼ぶ。イーオンの中に眠る記憶が、蘇ろうとしていた。
(2005年 アメリカ)

【語りかたと誤魔化しかたが、上手くない】
 なんか「12話くらいある話の最後の2話、みたいなストーリーだ」と思ったら、実際、TVシリーズとして放映されたアニメ(クリエーターは『アニマトリックス』にも参加していたピーター・チョン)の映画化なんだと。さもありなん。
 まぁ状況を説明するごちょごちょとしたナレーションで始まるのは許せるとしても、それ以後も、謎解きや種明かしについては説明セリフばっかりで処理してしまっている。それに「モニカンやイーオンは、なぜ、どのようにして戦うのか」といった部分の話も省略しすぎ。
 レジスタンスものとしての物語に厚みを生み出すべく、グッドチャイルド一族による圧政、ストーリー展開のカギとなる奇異な事件、議会の不審な行動と煮え切らない態度、一部市民の不安と不満……といった事柄は、もうちょっと丁寧に描いて欲しかったところだ。

 で、イーオンはいきなりトレヴァー暗殺へと赴くわけだが、このアクション・シーンがまたショボイ。致命傷。
 シャーリーズ・セロンは飛んだり跳ねたり、それなりに頑張っている。自慢の肢体もさらしてくれる。別嬪さんだなぁと惚れ惚れする。でも、殴ったり蹴ったりは本職ではないわけで、いかんせんノタクタ。
 動きをスピーディに見せるためにカット割りと編集で“誤魔化す”わけだが、その手法が70年代の刑事ドラマか戦隊モノかっていうくらいのクォリティ。おまけに、やたらスローモーションを多用するもんだから迫力がまったくない戦闘シーンになってしまっている。

 せいぜい評価できるのは、ピルによる思念通信などSF的なアイディアとガジェットがふんだんに散らされていること、あとは美術面くらいか。とにかく徹底して幾何学的なロケーションとアングルで、ただの通路も思わせぶりに撮ってしまう。ラバースーツ+桜、飛行船+黄金の間というミスマッチが醸し出す不可思議さも、閉鎖された未来世界に“味”を与える。

 そうしたヴィジュアル・イメージが先行して、ストーリーテリングとアクション演出がグダグダになってしまったB級作品である。

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