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2007/06/24

THX-1138

監督:ジョージ・ルーカス
出演:ロバート・デュヴァル/ドナルド・プレザンス/マギー・マコーミー/ドン・ペドロ・コーリー/イアン・ウルフ/ロバート・フェロ

30点満点中18点=監4/話2/出4/芸4/技4

【管理社会で芽生えた想い】
 徹底した監視と抑制剤の摂取により、完全に管理された社会。コードナンバーを与えられた人々は、厳格な勤務シフトにしたがって生活していた。ある日、自我に目覚めたLUH-3417はルームメイトのTHX-1138に抑制剤を与えず、おかげでTHXは精神に変調をきたしてしまう。作業中に事故を起こしたTHXは隔離されるが、SEN-5421やホログラムとともに、LUHの奪還と“外”への脱出を目論む。
(1971年 アメリカ)

【未来社会の描写、そのターニング・ポイント】
 全編を覆うのは“不安”である。逆回しのオープニング・クレジット、神経を逆なでするサウンド、モノトーンで幾何学的な風景、ほとんど画面の中央に捉えられることのない対象物……。四方からぎりぎりと圧迫されるかのような空気が作られ、そこに前置きなく放り込まれる。
 この世界に順応できない存在は、社会からオミットされるほかない。ミゼットや分裂症を思わせる囚人たちによって印象づけられる“異端”。
 が、THXもLUHも、紛れもなく血の通った人間である。毛穴やシミまで拾い上げるクリアすぎるほどの撮影、嘔吐や髭剃りといった行為が、その事実をクッキリと浮かび上がらせる。
 ここは、人間がいるべき場所ではない。とはいえここに引き止める力は意外にも小さい。なぜなら外部には“没”が待つだけであるからだ。

 とまぁ、近未来の管理社会を真っ向から描いた作品であるわけだが、ストーリー自体は観客を突き放したものであり、感情移入度は低い。
 その代わりといってはなんだが、繰り出されるヴィジュアル・イメージたるや圧巻のひとこと。セットだけでなくロケーションも物凄い。
 恐らく、実際に訪れれば「なんということのない場所」がほとんどなのだろう。が、照明やアングルによって無機的なものに整えられ、それをモンタージュすることで鮮やかにひとつの“世界”が創り上げられている。万博時代の未来像、といえなくもないが、それがかえって新鮮でもある。

 それに「観客を突き放した」といっても、余計な要素を削ぎ落としてシンプルにしたぶん、観る者にイマジネーションの蜂起を要求する作品ともなっている。そのイマジネーションの種や、強烈なヴィジュアルとデザインセンスは『スター・ウォーズ』(1977年)はもちろんのこと多くの作品に影響を与えたことは間違いない。

 『ウエストワールド』(1973年)
 『ブレードランナー』(1982年)
 『未来世紀ブラジル』(1985年)
 『ガタカ』(1997年)
 『マトリックス』(1999年)
 『リベリオン』(2002年)
 『NOTHING』(2003年)
 『Vフォー・ヴェンデッタ』(2005年)

 ほかにも毛色の似ている作品はゴロゴロあるし、「管理社会 映画」で検索するだけで、ボコボコと引っ掛かる。そのほとんどが本作から遺伝子を受け継いでいるはずだ。
 もちろんこの系譜に連なる作品としては『メトロポリス』(1927年)や「ウルトラセブン」第43話『第四惑星の悪夢』(1968年)といった先駆も多々あるが、本作が「無機的なディストピアとしての未来社会」というイメージを世界規模で植えつけるキッカケとなったことは確かだろう。

 初見は20年くらい前。こういうのをもう1回観る気になって、しかもそこそこ以上の評価を与えてしまうことに、自分のアイデンティティの一端を感じたりする。そういう“原体験”的な映画でもある。

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