変身
監督:佐野智樹
出演:玉木宏/蒼井優/佐田真由美/松田悟志/釈由美子/山下徹大/北村和夫
30点満点中12点=監2/話1/出4/芸2/技3
【僕が僕でなくなっていく! 脳の中に棲みついたのは誰だ】
5週間もの昏睡から目覚めた成瀬純一。強盗に頭を撃たれ、奇跡的に助かったのだという。だが事件の記憶はほとんどなく、思い出すのは恋人・葉村恵との楽しい日々だけ。ピクニック、買い物、趣味の絵画……。退院した彼はふたたび恵とともに時間を過ごすようになるが、以前とは違って恵に苛立ちを感じ始める。純一の脳の一部は損傷を受けており、そこに移植されたドナーの記憶・性質が、彼の性格や行動に影響を与えているようだった。
(2005年 日本)
【サスペンス・コントの中に、ひと筋の救い】
「原作は数年前に読んだんだけど、これってコメディだっけ?」
「確かにサンドイッチとかイカスミとか、失笑ものですよね」
「とにかく『ダメ映画』特有の欠点に満ちている。リアリティのないセリフと行動と展開、セリフでなんでも説明しちゃう安直さ」
「そもそも東野圭吾の作品って“小説的”ですよね」
「うん、活字で目に飛び込んできてこそドキっとする内容のものが多い。活字なら説明的でも許される部分がある。それを、あまり工夫のない脚本に仕上げちゃうもんだから、こうなる」
「画面の作りも、あまりスマートじゃありません。TVサイズというか」
「1カットであれこれやらせちゃう安っぽさがあった。なんとなく『がんばれ!!ロボコン』とか、そのへんを思い出しちゃったんだけれど、実際この監督って『ウルトラマンメビウス』を撮ってるんだな」
「視点のブレも気になりました」
「一応は純一目線の話なんだけれど、ときどき恵目線に変わっちゃう。だから純一の苦悩を描きたいのか、出来事・事件を描きたいのかが中途半端になっていた」
「ラストなんか完全にそうでしたね」
「あと気になったのは音楽の使いかた。曲そのものが安っぽいのは我慢するとしても、純一がバイオリンで京極瞬介がピアノっていうふうにBGMをクッキリと使い分けるべきだったんじゃないかな」
「クソミソの割に、最後までよく観ましたね。『宿命』も『レイクサイドマーダーケース』も途中でギブアップしたのに」
「その2つよりは真っ当というか、素直に作ってあったと思う。素直なぶん物足りなさもあるんだけれど」
「それと、恵でしょう」
「うん。蒼井優をこれだけ“ウザイ”女にできたっていうのは評価していいと思う。もちろん彼女の芝居がいいということなんだけれど」
「じゃあ、まとめれば……」
「お約束の『蒼井優をオレにくれっ!』ということで」
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