パビリオン山椒魚
監督:冨永昌敬
出演:オダギリジョー/香椎由宇/光石研/KIKI/キタキマユ/斉藤陽一郎/杉山彦々/津田寛治/麻生祐未/高田純次
30点満点中13点=監3/話1/出4/芸3/技2
【オオサンショウウオを巡るドタバタと駆け引き】
国宝のオオサンショウウオ“キンジロー”を管理することで国から莫大な補助金を得ているキンジロー財団と二宮家。財団の乗っ取りを企む第二農響の香川は、二宮家に圧力をかけつつ、キンジローの真偽を確認するよう天才レントゲン技師・飛鳥芳一に依頼する。だが、キンジロー奪取に向かった飛鳥よりひと足早く、財団の四女あづきがキンジローを盗み出していた。彼女には出生にまつわる秘密があり、行方不明の母に会うことを願っていた。
(2006年 日本)
【香椎由宇だけ観てればいい】
内容はないよう。あくまでナンセンス&シュールなコントなので、特にああだこうだいうつもりはない(そういうのを映画で観たいわけじゃない、ということはできるが)。
ただ、このやり口についてはどうか。
各シーンとも、1~3と極めて少ないカット数で構成される。作られるのは、ゆるぅい空気。それがいい方向に作用して面白みになっていたり、長まわしが妥当に感じられるシーンもある。キンジローが池からいなくなったことが発覚する場面とか、暗闇に浮かぶバスの窓の中の飛鳥とあづき、飛鳥と先代(あづきの父)といった光景などだ。
が、ほぼすべてのシーンで同じ方法論が採られているために全体として冗漫。確信を持ってこういう作りにしたのだとは思う。また、この作り・リズムを許容できる人になら心地よいのかも知れない。でも、こちとらイジワルなので「あ、いったんそこに据えたカメラを移動させる手間も時間も気合いもなかったのね」と感じてシラケてしまう。
おまけに説明セリフと説明ナレーションで押すところが多いし、その割には同録のクォリティが悪い(というか録音レベルが低い)ので聴き取りづらいし、「その場所そのまんま」の露出+引きの絵で撮るので表情も読み取りづらいし。
全体に「10分のコントを拙い技術で100分に仕上げた」というイメージ。後半、飛鳥が“ハジケ”てからはコントとしてのノリがより鮮明になって面白さが増したことを思えば、ホントに10分のコントとして見せてくれたならもうちょっと評価も上がったのだが。
救いは香椎由宇。レントゲンを撮るところの素の顔は、はじめてこの人を可愛いと思わせた。そこだけ観てればいいだろう。
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