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2007/07/18

チェケラッチョ!!

監督:宮本理江子
出演:市原隼人/井上真央/平岡祐太/柄本佑/伊藤歩/山口紗弥加/玉山鉄二/KONISHIKI/川田広樹/ゴリ/柳沢慎吾/松重豊/大島さと子/平田満/樹木希林/陣内孝則

30点満点中15点=監3/話3/出3/芸3/技3

【南国、雲の切れ間に咲いた、これが青春だ!】
 ファーストキスの相手と運命の恋に落ちる。ばあばのお告げ通り、バイト先の水族館で“記憶のないキス”をした相手=渚に、透はひとめぼれ。幼馴染みの唯に誘われて行ったライブハウスで渚と再会した透は、悪友の哲雄や暁とともにバンドを結成し、渚にいいところを見せようとする。そんな透の姿を見て、唯はやきもき。唯の動揺を見て、哲雄は浮かぬ顔。しかも初のライブは大失敗、騒動を起こし、渚に恋人がいることもわかって……。
(2006年 日本)

【意外としっかりしたプランニングかも】
 ハッキリとテレビサイズ。ま、テレビ業界の人が低予算で作っているので仕方ないんだけれど。
 沖縄フェチ、特に本作の撮影地となった本部(もとぶ)近辺にしょっちゅう行っている妻は「ここは喫茶風の丘」「あ、岸本食堂」「これは、あそこの道かなぁ」などと楽しんでいたが、行ったことのない人が沖縄に興味を抱けるような作りにはなっておらず、ロケーションを十分に生かしているともいいがたい(まぁ観光ガイドに堕すよりはマシだが)。
 お話的にも、わかりやすくて(ただし、バカではあるけれど極端に頭の悪いホンではない)先が読めて軽いノリでふくらみがない。
 要するに、いたってフツー。わざわざカネを出して観るほどじゃない。

 むしろ、沖縄の色や空気を伝えるためにも、ビデオ映像をダイレクトに流すテレビドラマのほうがよかったんじゃないだろうか。

 ただ、意外とプランニングはしっかりしているな、と感じる部分もある。
 カメラは常に出演者たちと一定の距離を保ち(3mくらい。スタートとカットが、声を張り上げなくても届く距離)、透や唯たちが作り出す“ムダにエネルギーが有り余っている若い世界”に入って行くことはない。その絵作りのバリエーションの少なさがテレビサイズ的になった要因でもあるのだけれど、この作りが、劇中で透の父が述べる「親は子どもを見守ることくらいしかできない」というセリフと結びついたとき、この映画は1つの作品として意義を持つようになる。

 そう、これはバカな若者たちを見守るお話なのだ。「若いって、怖いもの知らずで清々しくってバカなことなんだよねぇ」という大人目線の映画なのだ。俺たちにもそういう時期があったし、息子たちが同じ道を歩んでいるというのはいい育てかたをした証拠なんじゃないの。
 だから、彼らの世界へと入って行くことはないし、周囲で見守る大人たちは理解の視線を彼らに注ぐのだ。そして若者たちもまた、その視線に潔く甘えて、こう叫ぶのである。「チェケラッチョ!!」(俺たちを見てくれ)。

 バカどもは男も女も可愛いし、笑えるし、鑑賞スタイルが“見守り視線”に落ち着く終盤(野外ライブの準備を始めるあたりから)はテンポもいいし、肩も凝らない。ホンワカと見守るぶんには、そこそこのデキかも。

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