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2007/07/10

四月物語

監督:岩井俊二
出演:松たか子/田辺誠一/留美/藤井かほり/津田寛治/光石研/江口洋介/石井竜也/伊武雅刀

30点満点中17点=監3/話3/出4/芸4/技3

【春の日、上京してきた大学生】
 旭川の高校から、東京の大学へ。桜の散る頃、一人暮らしを始めるために武蔵野へとやってきた楡野卵月。強引な引越し業者、ちょっと暗い隣人、マイペースの同級生、サークルの先輩、映画館で隣に座った妙な男、そして小さな書店・武蔵野堂……。自転車を走らせ、ページをめくり、カレーを作りすぎてしまう彼女の日常。大きな事件などないように思える春の日、しかし卯月は、ある重要な目的を持ってここに引っ越してきたのだった。
(1998年 日本)

【小さくって優しい】
 岩井俊二にしても「ちょっとゆるいかな」という時間の流れ。人を突き放した感じも強く、全編に渡って“間が抜けている感”が漂う。
 しかし、その空気が次第に心地よくなってくる。新しい環境に放り込まれた(というより飛び込んだ)女のコの、ゆるゆるした日常の観察。これは、そういう映画なのだ。

 だからカメラは、見下ろしたり見上げたり、遠くから眺めたりうんと近くに寄ったりしながら、ひたすら彼女の周囲だけを捉え続ける。
 あからさまなまでに、射し込む光や反射などを画面の中に躍らせて、そこが現実に存在する空間であること、そこに“生きている”女学生の物語であることを印象づける。

 彼女が密かに抱える「目的」が明らかにされる場面では、やや語りすぎているとも思うが、内省的な独白は女学生の特権。
 それに、目的が果たされる前と後の、彼女の行動と表情、微妙な変化がみずみずしい。後ろめたさを誤魔化そうとして別の目的を探してみたり、周囲に対してちょっぴり優しく積極的になってみたり。大切な人との距離が近づくと、他人に対してもあんな風に声のトーンが上がるものなんだね。
 また、2回目の鑑賞で卯月の行動の意味がほんのりと見えてくる、という作りかたも憎らしい。

 あくまでも小品。描かれている内容は、ほんの小さなこと。でも、その小ささが楽しくて、たとえば春の日に、紅茶でも飲みながらノンビリと観たい作品である。

 にしても、松たか子、若っ。津田寛治、もっと若っ。田辺誠一も若っ、そして細っ。いきなりファミリーでびっくりさせるし、江口洋介・石井竜也・伊武雅刀のトリオは「そんなとこで何してんねんっ」だし。
 そういうキャスティングに笑える映画でもある。

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