雪に願うこと
監督:根岸吉太郎
出演:伊勢谷友介/佐藤浩市/小泉今日子/吹石一恵/でんでん/山本浩司/出口哲也/岡本竜汰/椎名桔平/香川照之/小澤征悦/津川雅彦/草笛光子/山崎努
30点満点中13点=監3/話2/出3/芸3/技2
【社会に敗れた男、北の地での再起】
北海道・帯広。ばんえい競馬で厩舎を営む矢崎威夫のもとへ、13年ぶりに弟の学が帰ってくる。東京で輸入商社を興した学だったが、取扱商品が死亡事故を起こしたせいで会社は倒産、妻も家を出てゆき、一文無しになったのだった。厩務員見習いとなった学が出会ったのは、競走馬ウンリュウ。いまにも馬肉にされつつあるこの馬や、勝ちに恵まれないでいる騎手の牧恵らと触れあうことで、逃げ続けてばかりの学の心にも変化が現れはじめる。
(2005年 日本)
【見どころ少なく、映画らしくもない作品】
これで東京国際映画祭グランプリってのは、よっぽどヒドイ作品しか集まらなかったんだろうか。
と思って調べてみたら、過去に『アモーレス・ペロス』や『ウィスキー』といった化け物みたいな映画が戴冠しているものの、もともとたいした作品がコンペティションには参加しない映画祭みたいだ。
とにかくね、約2時間“説明”に終始するんですわ。ばんえいのルール、学が北海道に逃げてきた理由、ウンリュウへの思い、牧恵の気持ち、みぃんなセリフによる“説明”で逃げてしまう。
カットや展開によってわからせる“描写”が見られたのって、せいぜい馬に乗る学の上達ぶりくらいでしょ。
おまけにカメラも人物に寄っていかないから、なおさら感情移入しにくい作りになってしまっている。
登場人物の心情を、動作や表情のニュアンスと演技のアンサンブルで表現し、それをしっかりとカメラは捉えて、カットの連続としっかり組み立てられたストーリー構成によって「いま誰が何を考えているか」「何が起こっているのか」を視覚と聴覚と第六感でわからせる。そうした試みを放棄してしまったものはですね、映画とは呼べないんですよ。
まぁそのぶん、なぁんも考えずに家事をしながら観られるものになっているけれど、だったら土曜夕方あたりのテレビドラマで十分だ。
そんなわけで見どころは、馬が出ていることと、ふっきーが可愛いこと、それくらいの作品である。
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