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2007/09/27

アーサーとミニモイの不思議な国

監督:リュック・ベッソン
出演:フレディ・ハイモア/ミア・ファロー/ロン・クロフォード/ペニー・バルフォー/ダグ・ランド
声の出演:マドンナ/ジミー・ファロン/デヴィッド・ボウイ/スヌープ・ドッグ/ハーヴェイ・カイテル/ロバート・デ・ニーロ(以上英語版)/神木隆之介/戸田恵梨香/えなりかずき/タカアンドトシ/夏木マリ/永井一郎/Gackt(以上日本語版)

30点満点中18点=監4/話2/出4/芸4/技4

【大切な家を守るため、アーサーは冒険へと旅立つ】
 おばあちゃんと二人で暮らすアーサー。10歳の誕生日だというのに両親は遠い町で仕事、おじいちゃんはどこかへ消えたまま。そこへ借金取りが押しかけ、48時間以内に返済しないと家が取り壊されることに。ミニモイという小さな人々が暮らす国が庭のどこかにあると知ったアーサーは、そこにおじいちゃんが隠したはずのルビーを探すため、ひとり冒険へと旅立つ。だがミニモイたちの国では、悪魔マルタザールが侵略を進めていた。
(2006年 フランス)

【スピード感や美術はいいが、浅くてダイジェスト的】
「かなり駆け足のお話ですね」
「本来なら30分×20話くらいのTVシリーズ向きかもね。アーサーが置かれている環境とかおじいちゃんの発明品、マルタザールの生い立ち、勇者の剣に7つの国……と、ふくらますことのできるパーツは山のようにあるんだけれど、かなり端折ってガンガン進んでいく」
「まぁテンポがいいといえばそうなんですが、ペラペラペラって早口の台詞で状況説明する強引さがありました」
「キャラクターも十分に生かせていない。ハネっかえりのセレニアがアーサーに惚れる過程なんか、もっと丁寧に、もっとドラマチックに描けたはずなのに、いきなりチューだし。マルタザールの息子とかモグラのミロとかも、1エピソードずつ作れただろ」
「30分×20話=10時間のお話を1時間40分のダイジェストにした、という感じですね」

「ダイジェスト的という範囲の中ではソコソコ上手にまとめてあるんだけれどね。伏線をキッチリ生かし、収まるべきところに収めてあるし」

「描きかたの特徴としては、その駆け足感=スピードでしょうか。特に実写パートでは、ポンポンとカットを飛ばしてミニモイの国へと連れて行ってくれるあたり、置いていかれそうな勢い」
「そのミニモイの国でも『スター・ウォーズ』とか『サタデー・ナイト・フィーバー』を思わせるシーン/カット、次から次に訪れるピンチで実にニギヤカ」
「エリック・セラの音楽も、楽しく画面を彩ります」

「アニメ風だよね。『出来事に合わせて響くBGM』という作りが効いて、これもテンポのよさにつながっている」

「CGで上手く作られた世界も見どころです」
「かなり描き込んであるんだけれど、単に『キレイ』というだけじゃない。造形や衣装からなるキャラクターデザイン、薄暗かったり鮮やかだったりする背景、そのトータルバランスに違和感がない。『これがミニモイの国なんです』と言い切ってしまえるパワーと完成度の高さがある。美術関連の仕事は上質だね」
「そこを立体的にカメラも動いて、奥行き、広がり、高低を感じさせます」

「あのストローとかミニカーの存在、それから実写パートのおじいちゃんの部屋、60年代の田舎町を見事に再現したところもキーになっている。
 つまり、プロローグ部分とCG部分に“つながり”があって『田舎の家の庭には、こんなにもワクワクする空間が広がっているんだ』という驚きを感じさせるんだ。実写部分を、解像度が高くて赤や緑が映える色使いで仕上げたことも、CGとの“つながり”のよさを生んでいるんじゃないかな」

「今回は都合により(笑)、日本語吹替え版で観たわけですが、キャラクターはいかがでしたか?」
「これとか『探偵学園Q』でさ、神木君は、慌て演技・オロオロ芝居が身についてきたという感じがした」
「フレディ・ハイモア君とマッチするのか心配でしたが、意外と合っていましたしね」
「うん。『のび太と恐竜2006』とか『ピアノの森』では顔がチラついたんだけれど、今回はそれがあまりなかった。テンションの高いところとシットリのところの起伏を上手にこなしていたと思う。起用の大部分は話題作りが理由なんだろうけれど、その思惑を超えてたんじゃないかな」
「驚いたのが、えなりかずきとGacktの上手さですね」
「キャラクターともハマっていたね。夏木マリとミア・ファローも、意外といい取り合わせ。タカアンドトシは、トシのほうだけもうちょっと聴いてみたかったかな」
「戸田恵梨香は、ちょっと台詞まわしがアヤシかったように思います」

「後半はだんだんよくなったけれどね。ていうか、セレニア姫が可愛いから声はどーでもいいや」
「こういう“ノペっ”とした顔、お好きですか?」
「うん。『ダーククリスタル』のキーラとか、ジョデル・フェルランドちゃんとかね、下半身直撃だよ」

「下半身といえば、子ども向けの割にキワドイ台詞がけっこうありました」
「でも根底にあるのは“優しさ”だと思う。おばあちゃんが日めくりカレンダーをしまっておく、あの箱ね。あれで、観ているほうはすごく幸せな気分になれる」
「でも、その“優しさ”が作品の本質部分へ収束していかないんですよね」
「そう。家族、恋、友情、大切な人を守りたいという“優しさ”が原動力となって問題解決に至る、というストーリーであるべきはずなのに、道具と勢いと思いつきで一気呵成にトラブルを潜り抜けるアクションものにとどまっている。そのへんの構成力は、たとえば『ドラえもん』やディズニー作品のほうが何倍も上。
 全体としては楽しいんだけれど、観終えたあとに何かが残るような映画ではない。そういう浅さも『ダイジェスト的』と感じさせる原因だね」

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