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2007/09/15

ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団

監督:デヴィッド・イェーツ
出演:ダニエル・ラドクリフ/ルパート・グリント/エマ・ワトソン/ゲイリー・オールドマン/デヴィッド・シューリス/ブレンダン・グリーソン/マーク・ウィリアムズ/ジュリー・ウォルターズ/アラン・リックマン/ロビー・コルトレーン/イメルダ・スタウントン/マギー・スミス/エマ・トンプソン/ロバート・ハーディ/マシュー・ルイス/イヴァナ・リンチ/ケイティ・リュン/ジェームズ・フェルプス/オリバー・フェルプス/ボニー・ライト/ジェイソン・アイザックス/ヘレナ・ボナム=カーター/レイフ・ファインズ/マイケル・ガンボン

30点満点中17点=監3/話3/出3/芸4/技4

【闇の勢力が活動を本格化させる中で、ハリーたちは】
 ディメンターを撃退したハリーは、マグルの前で魔法を使ったとして裁判にかけられ、ヴォルデモートととの心の同調にも悩まされる。いっぽうシリウスたちは、本格的に活動を始めたデスイーターに対抗すべく不死鳥の騎士団を再結成。しかしファッジ大臣はヴォルデモートの復活を認めず、レストレンジをホグワーツに送り込んでダンブルドアを牽制する。ハリー、ロン、ハーマイオニーらは自主的に闇の魔法への対抗呪文を訓練するのだが……。
(2007年 イギリス/アメリカ)

【つなぎと割り切れば、踏み外してはいない】
 原作の中でもかなり暗く、見どころの少ない巻。映画になっても盛り上がりに欠け、説明的で割愛(ネビルの両親に関する部分とか)も多く、なぁんも始まらず、なぁんも解決しない。“つなぎ”の印象は否めず、1本の映画としては評価しにくいデキといえる。
 だが“つなぎ”の割には、そう悪くない

 撮りかたとしては、学園コメディというか青春ドラマというか、少年少女たちの行動を丁寧にうつしていくことに徹している。
 もちろん舞台の俯瞰、ホグワーツ周辺の立体的描写、的確なCG、色調のコントロールなどで「ハリポタらしさ」にも配慮している。シリウスの家や神秘部など、まさに原作通りと感じさせる美術の仕事も、相変わらずのクォリティの高さだ。
 音楽も収穫。新たにクレジットされたニコラス・フーパーによるスコアは軽快に重厚に、上手く画面をサポートする。
 そして、全体として堅実かつ地味。『アズカバンの囚人』に見られた作家性や『炎のゴブレット』にあったスペクタクル性は、一切なし。第1作~第2作当時に比べて撮影や特撮の技術はずいぶん進歩したはずだが、それらに頼っていたずらに大仰にすることもなく(見せ場が少ないので当然だが)、奇をてらった絵作りもなく、クライマックス以外はかなり小ぢんまりまとめたという印象だ。

 その“カチっとした世界”の中で繰り広げられるお話もわかりやすい(なにしろハリーがうんうんと唸っているだけ+魔法界がヴォルデモートの復活を認識するまでの出来事、というだけのストーリーだし)。
 ただ今回は「ハリー・ポッター7部作が向かうところ」をキッチリと示した点が特筆事項。すなわち、ハリーが持っていてヴォルデモートにはないもの=仲間や愛情や友情という本シリーズのテーマを明確に打ち出している。それをジックリと描き込むことはなかったものの、今後は恐らく“結びつきの強さ”をたっぷり見せていくことになるのだろう。3人組があらためて信頼を寄せ合うとか、不死鳥の騎士団とダンブルドア軍団の共闘とか。
 そうした「今後」を予感させるという意味で“つなぎ”としての役割をまっとうしていると感じるのだ。

 TVでのキャリアが長いデヴィッド・イェーツらしい、踏み外さない職人的な作りといえるのだろうが、ただ、となると次回作がちょっと心配。イェーツ監督が続投するそうなので「また地味な“つなぎ”にならないか?」という懸念はある(原作『謎のプリンス』は未読)。
 あと、パンフレットがかなりショボくなったのも残念だ。

 もうひとつ、ダニエル・ラドクリフの演技力も不安材料。まぁ唸ったり戸惑ったりしているだけの役なので損な部分もあるのだが、どうもシリーズ開始当初と比べて“華”が薄まっているように思える。ハリーの中身の成長も少ない感じだし。もっとこう「特別な存在」として輝かせてやらないと。脚色や演出や撮りかたでフォローしてやるべきだろう。

 反面、エマ・ワトソンはいい具合に大人っぽくなってきた。チョウ・チャン役のケイティ・リュンもジニー役のボニー・ライトも可愛く成長しているし、ルーナ・ラブグッド役イヴァナ・リンチという新たなヴィジュアルも加わって、女の子勢は『ハリポタ』の売りになりつつある。登場人物の増加と人物関係の複雑化に連れて扱いは小さくなってしまうのだろうが、各人の見せ場の増加を希望したいところだ。

 周囲を固める大人たちは、相変わらず豪華。チョイとしか登場しない人でも楽しんで一所懸命にハリポタ・ワールドを作ろうとしてくれているのが嬉しい。特に今回はもうイメルダ・スタウントンにやられっぱなし。こういうコミカルな役も上手いなぁ。

 さて、女の子たちとの再開も含めて、次はどんな料理を味わわせてくれるのか、また1年楽しみに待つとしよう。正直、本作のデキは「納得はしているけれど満足はしていない」レベルだったわけだが、ダンブルドア軍団がズラリと勢ぞろいした写真が「まぁ次を見てくれ」といっているように思えるのだ。

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