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2007/11/08

オーメン

監督:リチャード・ドナー
出演:グレゴリー・ペック/リー・レミック/デヴィッド・ワーナー/ビリー・ホワイトロー/ハーヴェイ・スティーヴンス/パトリック・ソーントン/マーティン・ベンソン/レオ・マッカーン

30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4

【生まれ出し者は、悪魔の子】
 6月6日午前6時、ローマ。ようやく子宝に恵まれたはずのロバート・ソーンだったが、死産に終わる。妻キャサリンの精神的ショックを案じたロバートは、同時刻に誕生した孤児を引き取り、ダミアンと名づけて実の子として育てることに。やがて駐英大使となったロバートは家族とともにロンドンへと渡るが、ベビーシッターの自殺、不気味な予言を遺す神父、黒い犬などダミアンの周囲では不思議な事件が多発するのだった。
(1976年 イギリス/アメリカ)

【全編に渡ってキープされる深くて濃い緊張感】
 神聖な地ローマで悪魔の子が誕生する。その物語の主人公にグレゴリー・ペックを据えることじたい、神をも恐れぬ所業だろう。
 そのおこないに恥じることのないデキであることが求められるわけだが、ちゃんとクリアしたのが名作たる所以。

 ショッキングな惨殺シーンに目を奪われがちだが、むしろそれ以外、平時に漂う重々しさこそが本作の肝。
 画面からは曇って湿気を含んだ空気が漂い出し、また常に立体感(主に奥行き感)に配慮した画面レイアウトが採用される。修道女に抱かれたダミアンとロバートと神父がガラス越しに対面するシーンとか、階段を幾何学的に捉えたカットとか、ハっとさせる構成。そうして、不幸はいつどこからどんなふうに忍び寄るのか知り得ない、そんな“この世の不可知性”を無意識に感じさせる。『アヴェ・サンターニ』をはじめとするジェリー・ゴールドスミスのスコアも、その重々しさを支えている。

 すべての登場人物が死を予感させる暗く沈んだ表情というのもスゴイ。肌の質感がね、なんかもう「死と隣り合わせ」という色合い。そんな中、ダミアンだけが(子どもだから当然なんだけれど)生き生きツヤツヤ。
 そのダミアンをほとんど脇役扱いとし、父ロバートのあたふたを中心にしたことでウソっぽさが排され、物語に芯が生まれている。と同時にラストカットの衝撃性を増す効果も。

 ストーリーは、ほぼ一本道。にも関わらず、というか、だからこそというべきか、全編に渡って深くて濃い緊張感がキープされるのだ。

 正直、画面作りにも音作りにも古めかしさがある。中心となるロバートの苦悩だってもっと深く掘り下げられただろうとか、不思議な出来事の数々は本当に悪魔の仕業なのか、それとも両親のノイローゼなのかと惑わせる雰囲気があっても良かったんじゃないかとか、よりアイロニックに仕上げればさらなる良作になったかも知れないと感じさせる部分は多い。
 が、オープニングからエンディングまで一貫した空気感と密度感とをもってキッチリと「悪魔の子が生まれ出る物語」として仕上げられていて、なかなかに楽しめる(?)作品となっているのは確かだ。

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