エイリアンVSヴァネッサ・パラディ
監督:ディディエ・ポワロー/ティエリー・ポワロー
出演:ヴァネッサ・パラディ/ジェイソン・フレミング/ベノワ・ポールヴールド/ジャン=ピエール・マリエール/ヴェナンティーノ・ヴェナンティーニ/ヴァンサン・タヴィエ
30点満点中18点=監4/話3/出3/芸4/技4
【小さなお祭りに沸く田舎町にエイリアン来襲!?】
レストラン経営者ボスコが牛耳るホコリっぽい小さな田舎町、スコットレット。お祭りに参加するためこの町を訪れたスタントマンのジェームスは、ボスコの娘でミュージカルへの出演を夢見るコンチャと恋に落ちる。が、ボスコの怒りを買って刑務所行き。納得できないジェームスは脱走、ステージで自慢の歌声を披露するコンチャの元へと急ぐ。その頃、隕石に乗って飛来した謎の生物も、スコットレットに忍び寄りつつあった。
(2005年 フランス/ドイツ/イギリス)
★ラストに関するネタバレを含みます★
【バカだけれど、端々にセンスが潜む】
「いやぁバカですねぇ」
「バカなうえにエロ、そしてグロ、ナンセンス、スリラーにスプラッターと何でもアリだ」
「なんとなく大学の映研とか自主製作っぽいノリ。商業映画とは思えないほどの未整理さです」
「トビーなんか反則だよな。普通、SFでもラブロマンスでも真っ当な映画ならアレにOKは出さない。でもひょっとしたら、映画出演犬としては『オズの魔法使』のトトに匹敵するくらいの名(迷)キャラクターじゃないか。そう思えてしまうくらいの猥雑パワーにあふれている」
「最初はこの邦題ってどうなのよと思ったんですけれど……」
「意外とシックリくるんだよ。ていうか誠実。『これはキワモノです』という宣言だもんな」
「パロディ精神も旺盛です。『猿の惑星』っぽかったり」
「人間の体内に入り込むのはエイリアンもののお約束だし、不思議な預言者がいたりね」
「キャスト、というかキャラクターもB級っぽいというか」
「少なくともスターは出ていないし、みぃんなバカとして描かれている。いやヴァネッサ・パラディはスターなんだろうし、かなり可愛いいんだけど、扱いがね、とりあえず『ぶわぁーと好きにやってください』みたいな」
「でもグチャグチャなだけじゃなくて、シッカリ感、よく作られている感もあります」
「たとえばヴァネッサのステージね。そのへんのビデオクリップが尻尾を巻いて逃げ出すくらいグルーヴィ」
「このシーンをはじめ、撮影センスはなかなかですね」
「うん。対象となる人物を画面の中央に置かなければならないという意識にまったく執着しない。あるいは暑苦しいくらい人物にカメラが寄って、かなりエキセントリックな絵が作られている」
「しかもそれを、バッツンバッツンと切ってつなぐ。スピーディな編集も上質です」
「暑くて乾いていてホコリっぽいこの土地の空気感もちゃんとすくい上げている。無国籍なロケーションも抜群」
「でも、内容はないでしょう?」
「そんなことはない。んや、やっぱりないんだけれど、あるように解釈することもできそう」
「愛は勝つ、ですか?」
「もっとSF。あのエイリアンたち、きっと強力な生命力とか遺伝子が欲しかったんだろうね。そこで選ばれたのがエイリアンを倒したヴァネッサとジェームス」
「なんだか『プレデター』みたいな価値観」
「で、エイリアンはヴァネッサとジェームスの遺伝子を吸収して増殖していくことになる。つまりコレって神話なんだよ。ナレーターたち人類がいかにして誕生したかっていう」
「そのへんもまたB級テイストですねぇ」
「講談社あたりから出ているSFコミックが好きな人にはたまらんだろうね」
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