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2007/12/16

ウォーク・ザ・ライン/君につづく道

監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ホアキン・フェニックス/リース・ウィザースプーン/ジニファー・グッドウィン/ロバート・パトリック/シェルビー・リン/ダン・ジョン・ミラー/ラリー・バグビー/ダラス・ロバーツ/ウェイロン・ペイン/タイラー・ヒルトン/リッジ・キャナイプ/ルーカス・ティル

30点満点中16点=監4/話3/出3/芸3/技3

【できることなら、真っ直ぐに歩きたい】
 失業救済局の作業場で働く父らとともに、貧しい暮らしを送るジョニー・キャッシュ。やがて成長し、ヴィヴィアンという妻、ロザンナという娘を得たものの貧しさは相変わらずだった。だが友人たちと組んだバンドで録音スタジオのオーディションに臨み合格、彼の曲はヒットし、ツアーの日々が始まる。留守がちな彼と妻との間に不穏な空気が流れ始めたとき、ジョニーは子どもの頃に憧れた歌姫ジューン・カーターと出会うのだった。
(2005年 アメリカ)

【キャラに魅力のない尻すぼみ映画】
「現代から幼年期、そして青年期への時間遷移が鮮やか。序盤の見せかたは良質でした」
「無駄がなく、説明ではなく描写して読み取らせることに徹している。たとえば兄弟の仲のよさ、たがいに認め合っている部分、父親との関係、復員後の生活などについて、簡潔なセリフで状況をわからせる手際は上々だね。特に『あ、お兄ちゃんに何か起こりそう』、『やっぱり』という空気感の創出は極上。頭のいいシナリオと演出、最低でも18点コースだなと感じた」

「でも、それが中盤からボロボロと崩れていきます」
「というか、何も起こらない。いや、何も起こらなくても序盤のような見せかたの上手さがあればいいんだけれど、それもなく、ただジョニーがウンウンと苦しんでいるのを撮っているだけ」
「伝記映画ですらなくなっていますもんね」
「うん。一応は実際にあったことをなぞっているみたいだけれど、その出来事と人物とのつながりが希薄だと思う」
「ジューン、ヴィヴィアン、父親、バンド仲間にツアー仲間にプロデューサーと周辺にゾロゾロと人はそろっているのに、誰ひとり『ジョニーの生涯や音楽に果たした役割』まで突っ込んで描かれることはなく、キャラクターが生かされていないんですよね」
「せめてジューンだけは、ジョニーにとってかけがえのない人だということを印象づけるエピソード・描写があって然るべきなんだけれど、洋服がギターに引っかかっただけじゃ、ねぇ」
「プロポーズの場面も、いくら史実に忠実とはいえ、もっと演出的・撮りかた的な盛り上がりがあっていいでしょう」
「全体にずっと同じテンションだよな。しかも『ウンウン』が続く」
「ウンウン、ツアー、またウンウンの繰り返しです(笑)」

「なおかつアップが多めになる。暑苦しいし、その場面にいる人の位置関係も曖昧になって、ますます立体感が削がれていく」

「あのぅ、そもそもジョニーの音楽って『いい』と感じました?」
「そうでもない。それがまた問題。まぁ個人的な好みという部分が大きいんだけれど、アメリカの音楽史に大きな足跡を残した人なんだから、もっともっと魅力を光らせてもよかった」
「この人のミュージシャンとしての凄さとか人間としてのよさが、まったく出ていませんものね」
「キャラが薄いんだ。『ビヨンド the シー』『Ray/レイ』も、もっと深く、ある意味では戯画的に主人公を掘り下げていたもんな。少なくとも描く対象へのリスペクトとか情熱は感じ取ることができた。そうした強烈さがこの映画にはなかった」
「そのあたり、役者に負うところも大きいんでしょうか」
「これもまた個人的な好みになっちゃうけれど、ホアキン・フェニックス自身のルックスも歌声もあまり魅力的じゃなかったね」
「そもそもウンウンいってるだけですし」
「ジューンもキャラが立っていない。あとリース・ウィザースプーンにね、どうも馴染めないんだな。南部なまりで頑張っているのはわかるけど、ジューンには主人公が惚れる女性としての魅力も不足しているし、リースの演技もオスカーのレベルだとは思えなかった」
「サングラスをかけたホアキンとリースの絡みって……」
たむけんと濱田マリのコントに見えて仕方なかった」
「むしろ、びっくりしたのはロバート・パトリック」

「T-1000がさ、あんなに見事に枯れるんだもん。たいしたもんだ」
「キャッシュ兄弟の幼少期を演じたリッジ・キャナイプ君とルーカス・ティル君も可愛かったと思います」
「ルーカス君がさ、一瞬、夭折にしてホアキンの実兄であるところのリバー・フェニックスっぽく見えたんだ。たぶん確信的なキャスティングだと思うんだけれど、それもまた序盤の評価が高い理由だね」

「まとめれば、キャラに魅力のない尻すぼみ映画、でしょうか」
「序盤のデキのよさがあるから16点で下げ止まっているけれど、それがなかったら、かなり辛かった」
「真っ直ぐに歩く、自分の意志で。そんなテーマを消化し切れていないストーリーと演出でしたもんね」
「何をやりたかったの、ウンウンだけじゃ、ジョニーの中身は伝わってこないよ、と。あと、いま思えば『ビヨンド the シー』や『Ray/レイ』には映画的なドキドキとかギラギラしたものが、もっとあったよな」
「道で始まり、道をタイトルにしているんだから、道で締めて欲しかったという思いもわいてきますね」
「要するに、イマイチ

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