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2008/01/08

LOSS

監督:ダン・ターナー
出演:ジョン・ホプキンス/ジョルジーナ・フレンチ/ニック・シモンズ/デヴィッド・ガント/アンドリュー・バイロン/クライヴ・アシュボーン/メム・フェルダ/モリー・ユーインス

30点満点中15点=監3/話3/出3/芸3/技3

【記憶を失い、さまよい歩く男と女】
 見知らぬ街に放り出された女。記憶を失くし、言葉も取り戻せないままでさまよい歩く。目に映る人々は、みな自分に危害を加えようとしているように感じられた。同じく記憶喪失の男は、「モーガンよ、アンナを探せ」と書かれた女の写真を持っていた。やがてふたりは出会うのだが、原因不明の頭痛に苦しめられるアンナらしき女は、正気を失ってバーの店員を傷つける。ふたりの彷徨の陰には、ロシア外相の暗殺計画が潜んでいた。
(2005年 イギリス)

【アイディアを生かし切れず、工夫もない】
 身の丈に合わない風呂敷の広げかたでグチャっとなってしまった映画。あるいは、もうちょっと上へ行ける素質はあるのに調教師のせいで900万下ダートをウロウロしている競走馬、といった感じ。

 荒唐無稽なりに、ストーリーは一応のまとまりを見せていると思う。タネを明かすタイミングとか、それなりのオチとか、まぁこんなもんだろう。まったく退屈なものではない。
 でも、もっと面白くできたことは確か。たとえばオチに至る伏線は「そのまんま」だし、種明かしも言葉に頼っている。舞台がプラハだということにもあまり意味はなく、遠くに逃げれば助かるという設定だってスリリングに展開できていない。だいたい、この計画・実験ならわざわざ記憶をまるまる奪う必要なんてないわけで。

 記憶を失ったこと(プラス見慣れぬ場所に放り出されること)に対する恐怖を描きたいなら、さまよう場面では字幕は不要、周囲を信じられなくなるようなエピソードをホテルマンや大使館との絡みで盛り込むとか、いろいろ工夫のしようもあったろう。記憶を失ってもなお惹かれあうことの悲劇も出せたはずだ。

 犯罪サスペンスとしても中途半端だ。ミスター・ウォーカー配下の悪党はいかにも数が少なく、カネもなさそう。そんな状況で、これだけの実験は可能なのか? スケール感がないんだな。
 かといってそれを補うだけのギラギラヒリヒリするような鋭い危なさも皆無で、フツーに撮っている。重苦しい音楽さえ乗っけとけばいいってもんじゃないだろう。

 要は、アイディアだけに頼って練り込み不足、かつ予算不足。なのに風呂敷を広げすぎちゃった感じ。同じシーンなのにカットによって色調が変わるのも気に障るし。

 記憶を失うという設定だけは残し、そういう状況に主人公たちを置かざるを得ないことに関する説得力を付与(マインド・コントロールを可能にすることの代償として記憶を失うとか)、舞台をニューヨーク、計画の実行犯を米軍に変更、記憶喪失カップルが逃げ惑うところももっとスリリングにして複線も上手く処理して、トム・クルーズとかジーン・ハックマンとかピート・ポスルスウェイトなんかを使えば面白くなったかもなぁ。

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