アンダーワールド:エボリューション
監督:レン・ワイズマン
出演:ケイト・ベッキンセール/スコット・スピードマン/トニー・カラン/ビル・ナイ/スティーヴン・マッキントッシュ/デレク・ジャコビ
30点満点中17点=監3/話3/出3/芸4/技4
【追われるふたり、伝説に終止符は打たれるのか?】
数百年も続くバンパイア(吸血鬼)とライカン(狼人種)との戦い。バンパイアのハンターであるセリーンと混血種のマイケルは恋に落ち、それぞれのリーダーであるビクターとルシアンを討った。だが復活を遂げたバンパイアの始祖マーカスが彼らを追う。マーカスの狙いは、ライカンの始祖でマーカスの弟でもあるウィリアムを幽閉場所から解放すること。新たな闇の戦いに、謎の老人に率いられた武装組織も介入、銃撃は激しさを増す。
(2006年 アメリカ)
★ネタバレを含みます★
【正当すぎる続編、感想もほぼ前作と同じ】
3部作になるのかどうかわからんが、とりあえず第2弾。
前作『アンダーワールド』の感想では「このカッコよさと丁寧さは買えるので、パート2以降に、より物語を面白くするためのふくらましや厚みが加えられることを期待したい」と書いたが、そういうことはほとんどありませんでしたな。
今回の物語的キーとなる“謎の老人”の登場はあったものの、結局は血と血の闘いという枠内からハミ出すことはなく、むしろその根幹をさらに太くするためだけに用意された老人の存在。
要するに、数百年続いている闇の歴史&これこれの状況があって、それを小出しにしていって、その中にアクションを散りばめる、という作法で前作も本作も仕上げられているのだ。進歩はナシ。
それどころか、その他の感想も、まんま前作のものを流用できる。
たとえば画面。前作同様「オーバーラップなどをセンスよく用いたシーンの切り替え、顔にはクッキリとした陰影が描かれ、青系で解像度の高い画面が全編を貫いて、実にスタイリッシュ」。カギや爆弾などガジェット類のディテールも、酒場、基地、地下、倉庫、船といった各場面の美術も、前作に引き続いての本シリーズの魅力だ。
要するにカッコよさ重視。BGMを鳴らせるだけ鳴らして、そのメロディを引っ張るように次のシーンへと移行、全編を重い緊張感で覆った作りもカッコよさ向上に寄与している。
主演女優のノロノロ(加えて主演男優の中途半端さ)も相変わらず。ワイヤー・アクション、スローにコマ落とし、絶妙のカット割り&編集と、あらゆる手段を駆使してノロノロと中途半端さをフォローし、スピード感と迫力を創出、いっぱし以上のアクションに仕上げた手際も前作同様だ。
そんなわけで、正当な、あまりに正当すぎる続編。やっぱり前作同様に意外性や驚きは少ないといえるわけだが、最後の最後に良質な「!」を用意してくれている。
新たな力を得て、初めて人間らしい、血の通った表情を見せるセリーン。この瞬間のために前作と本作とが作られたとすれば、やい、ワイズマン、さすがに女房の生かしかたをよくわかってるじゃないか。
こうなるとパート3は、対人間ということになるのだろうか。そこに今度こそなんらかの意外性をプラスしてくるのか、それともやっぱりカッコよさ&スピーディなアクションに徹した真っ正直な映画で押し通すのか、セリーンとマイケルの恋物語に切なさは付与されるのか、彼らの子どもを巡るストーリーとなるのか(これが本命だな)、ま、あんまり期待せずに待とう。
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