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2008/03/25

ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ

監督:ガイ・リッチー
出演:ニック・モラン/ジェイソン・ステイサム/ジェイソン・フレミング/デクスター・フレッチャー/レニー・マクリーン/P・H・モリアーティ/ヴィニー・ジョーンズ/スティーヴン・マーカス/ヴァス・ブラックウッド/フランク・ハーパー/スティーヴ・スウィーニー/スティーヴン・マッキントッシュ/チャールズ・フォーブス/スティング

30点満点中19点=監4/話5/出3/芸3/技4

【悪党と悪党と小悪党の強奪スパイラル】
 盗品売買を生業とするエディ、ベーコン、トム、そして料理人のソープは大金を賭けてバリーとカード勝負、だがイカサマにハマって多額の借金を背負わされる。返済期限は1週間。打開策は、金の強奪しかない! 麻薬の売人ビッグ、マリファナを栽培している若者たち、骨董品の散弾銃を手に入れたいバリー、その部下のハチェットとクリス、危険な男ロリーら、さまざまな悪党の思惑と計画が絡みあって、事態は意外な展開に……。
(1998年 イギリス)

【バーで飲む。そんなインビな爽快感】
 監督のガイ・リッチーはCMやミュージック・ビデオからキャリアをスタート。その出自の通り、スタイリッシュな絵作りだ。
 セピア調、モノクロっぽいコントラスト、ストップモーション、広角レンズによる微妙な歪み……。それが見た目の独自性だけにとどまらず、ストーリーやキャラクターの雰囲気ともマッチしているのがいい(ただ全シーンとも似たような色合いとアングルなのでメリハリには欠けるが)。
 作り手の「俺はこういう絵を撮りたいの!」という思いが空回りせず、ちゃんと、作品のスタイルや面白さを決める重要なファクターとして機能しているといえる。

 スタイル以上に洗練されているのがストーリー/シナリオ。二転三転どころか四転五転、先を読ませず楽しませる。
 ま、デキすぎているといえなくもないけれど、伏線を張りながらさまざまな要素を上手に絡みあわせてまとめあげたことはもちろん、この手の映画には欠かせない“ムダ話”もキッチリと散らせてあって、なかなかの完成度。
 特にね、あのラストカット。これ以外にないでしょという“おさめかた”をしてあってニヤリ。頭の悪い人だと、この後、入れなくてもいいオチを入れちゃうんだけれどね。

 出演者は、みぃんな動きやセリフまわしがたどたどしくて、それが「バカで浅はかな悪党たち」という印象を強めている。その中にポンと置かれる、あまりに渋すぎるスティング=エディのパパ(たぶん作中、ホンキになったこの親父さんにかなうものはいないだろうな)。このバランスもまた作品の魅力の1つだ。
 登場人物が多い割にビッグネームが少ないので「白人はみんな同じ顔に見える」という人にはキツイかも知れないが。

 教訓を得るとか、これを観て人生観が変わるとか、そういう類の作品ではない(バカで浅はかな人間は犯罪に走るけれど、でもバカで浅はかだから結局は上手く行かない、ということは確認できる)。
 ただ「100分間めいっぱい楽しませるツールとしての映画」というものを再認識することは可能。バーでビールかウイスキーを飲むような、どうしても必要というわけじゃないんだけれど、それがあるから人生は楽しくなっている、そんな時間を味わえる作品である。

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