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2008/04/08

the EYE 【アイ】

監督:オキサイド・パン/ダニー・パン
出演:アンジェリカ・リー/ローレンス・チョウ/キャンディ・ロー/コウ・インペン/エドマンド・チャン/チャッチャー・ルチナーノン/ワン・スーユエン/ソー・ヤッライ

30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4

【見えてはならないものが、なぜ】
 角膜移植手術により生まれて初めて視力を得たマン・ウォン。だが彼女が目にしたのは“美しい世界”だけではなかった。病棟をさまよう老婆、マンションの廊下で泣き続ける少年、行ったことのない部屋、そして悪夢……。やがて自室に閉じこもるようになり、姉や祖母を心配させるマン。彼女から相談を受けた若き心理療法士のローは、角膜のドナーに関する情報を手に入れる。マンとローがたどり着いたのは、哀しみに満ちた出来事だった。
(2002年 香港/イギリス/シンガポール/タイ)

【薄いけれど、シッカリと仕上がっている】
 いま読み返すと、なんかオキサイド・パンの『テッセラクト』を酷評していたりするわけですが。実際、本作のほうがシッカリと作られている。

 見た目の作りが、まずまず上質。実相寺を思わせる(病室なんかフィルムの色調もあいまって、こりゃ『ウルトラセブン』か、と)寄ったりナナメってたりするカットに、音をふんだんに利用した盛り上げ。画面の隅にひっそりと見てはならない影を織り込んだりもする。
 全体として必要以上にショッカーには走らず、程よい具合に「うわっ」とか「いやぁん」という味を出してミステリアス、オカルトとしての空気を存分に発散している。
 そのあたりの上手さが評価されたのかも知れないが、この作品の本当にいいところは、テンポのよさというか、もったいぶらなかったストーリーテリングにあるのではないか。

 寒さを訴える老婆、通信簿を失くしたと泣く少年、部屋の幻視、お習字教室にペロペロに交通事故……。とにかく序盤から、不可思議現象を畳み掛けるように描いていく。「次は、なんやねん」と思わせるよりも早く次を持ってくる、このテンポのよさが、観客を引き込んでいくのだ。
 ただ逆に、その流れのよさが傷を生んでしまってもいる。本当の意味でのまとまりや説得力を生み出そうと思えば、ロー先生がマンを助けたいと感じるようになる印象的なキッカケが必要だっただろうし、タイへ行く前に誰かひとり、偶然でもいいから霊を成仏させておくべきだったようにも思う。
 一気にエンディングまで見せ切るための配慮=テンポのよさが、薄さにつながってしまっているわけだ。

 が、やりたいことをやり切っているのは確か。目力のあるアンジェリカ・リーの起用も正解だし、音や編集など各パーツのデキも上々だろう。
 恐怖ではなく哀しさの物語として(カタルシスを得られるかどうかはともかく)、まぁ、ちゃんと仕上がっているのではないだろうか。

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