スーパーマン リターンズ
監督:ブライアン・シンガー
出演:ブランドン・ラウス/ケイト・ボスワース/ケヴィン・スペイシー/ジェームズ・マースデン/フランク・ランジェラ/サム・ハンティントン/パーカー・ポージー/トリスタン・レイク・リーブ/エヴァ・マリー・セイント/マーロン・ブランド
30点満点中16点=監3/話3/出3/芸3/技4
【帰ってきたスーパーマンに新たな危機が迫る】
故郷クリプトン星が崩壊したことを知り、姿を消したスーパーマン。5年後、失意を乗り越えて地球へと戻った彼はクラーク・ケントとして「デイリー・プラネット」に復帰する。が、愛するロイス・レインは『なぜスーパーマンは必要ないか?』という記事を書いて有名になっていた。いっぽうスーパーマンの宿敵レックス・ルーサーも刑務所から出所し、北極に眠るクリプトン星の遺跡を発見、スーパーマンの弱点を握って行動を始めるのだった。
(2006年 アメリカ)
【まとめのバランスが悪い】
どうにも間延びしているなぁ。というか、クドイのだ。
たとえば「ロイスが子どもを生んでフィアンセと暮らしている」ということをクラークが知るシーン。いったんロイスの机の上の写真立てを見せておいて、それをジミーに説明もさせて、なおかつ、クラークとロイスとジェイソンを遭遇させるシーンも作る。これ、1つにまとめることができたはずなのに、クドクドと繰り返している。
レックス・ルーサーが着々と行動準備を進めるところも、そう。クラーク側とルーサー側を交互に描くのはいいとしても、それが少し頻繁すぎる。
最初の見せ場であるシャトル切り離しの場面まで30分かかっていることもあって、序盤のテンポは、かなり悪い。
後半やや盛り返してリズムはよくなるものの、これがかえって全体のバランスを崩してしまっている。本作にこめるはずだったテーマが、アクションとご都合主義と特撮によって薄められてしまっているのだ。
恐らく本作では“孤独”というものを描きたかったはず。
スーパーマンは故郷を失くした。クラークの母は息子を、ロイスは愛する人を失っていた。レックス・ルーサーは時間を奪われ、いま周囲にいるのは使えないヤツばかり。癒しは、犬だけ。みな喪失感と孤独と、誰にも理解されないことに対する寂しさを抱えている。
そのうえで「独りじゃないんだよ」というところへ落とし込むべく、みんなスーパーマンを待っていた、なんとかしてスーパーマンを助けたい、意志は子どもへと受け継がれる、という“まとめ”を用意していたはずだ。
つまり、アクションより心情。スーパーマンにストーカーまがいのことまでやらせたりして、さらには「このまま終わっていくボロボロのヒーロー」という無様な姿も見せたりして。
なんとなく『バットマン ビギンズ』を思わせるノリ。それが序盤のジックリ感につながったのだろう。
が「う~ん、このままじゃマズイぞ」という商売的計算が働いたのか、後半はドタドタと畳み掛けて、結局は力ずくでまとめようとした。そんなバランスの悪さを感じてしまうのだ。
CGや美術はもちろん自動車の暴走シーンなどにかなり手間ひまと金をかけて、あるいはタバコに火をつける場面のリフレインなど、「なんていうことのないところも、なるべく面白く作る」という意志は感じさせる。だからこそ余計に、それら1つ1つのシーンをきれいにまとめあげる手際に疑問が残る仕上がりである。
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