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2008/04/24

マイアミ・バイス

監督:マイケル・マン
出演:コリン・ファレル/ジェイミー・フォックス/コン・リー/ジョン・オーティス/ルイス・トサル/ナオミ・ハリス/キアラン・ハインズ/エリザベス・ロドリゲス/ジャスティン・セロー/ドメニク・ランバルドッツィ/エディ・マーサン/バリー・シャバカ・ヘンリー

30点満点中16点=監4/話2/出3/芸3/技4

【麻薬組織への潜入捜査】
 潜入捜査が組織にバレてしまい、FBIのエージェントと彼に協力していた情報屋アロンゾが命を落とす。アロンゾとは旧知だったマイアミ警察のソニーとリコは、情報の漏洩元を探るため、コロンビアの麻薬密売組織に潜入することとなる。当初は小さな組織かと思われていたが、そのバックには巨大な資本が存在するらしいと発覚。功を焦るFBIのフジマ捜査官を制してふたりは潜入を続けるが、ソニーは組織の幹部イザベラと恋に落ちて……。
(2006年 アメリカ/ドイツ)

【見た目のカッコよさだけ】
 マッチョでタフでやさぐれている警官、あるいは刑事と犯罪者の許されない恋、危険な潜入捜査。そうした古びた設定に加え、高級車だの高速船だのプライベート・ジェットだのダンスだのと現実離れしたアイテムとシーンの連続に戸惑いを禁じ得ない。
 なんやかんやあって、いきなり時間が飛んで「これこれがあった」と中間を説明して次の場面。ストーリーはゴリゴリと強引に進む。
 う~む、思ったほどハードな物語ではないぞ。てっきりキーになると思っていた「どこから情報が漏れたのか」もアッサリ処理しちゃうし。

 ある意味では“おバカ”とすらいえるこのお話を、いかにカッコよく仕上げるか、いかにスタイリッシュに見せるかが、本作の肝。その点では、まずまず見ごたえはある。

 注意が払われたのは“拾い上げる”という演出・撮影プランだろう。コリン・ファレルもジェイミー・フォックスも、(たぶん)なまりバリバリ。けれど演技は抑えて抑えて、感情をあまり表に出さず潜入捜査官を演じ切る。
 その様子を手持ちカメラが追いかけるドキュメンタリー・タッチの撮りかたで「その場でおこなわれていること、その場にいる人たち」を拾い上げていくのだ。そうして作られる緊迫感。
 しかも開放的なロケーションが多いはずのマイアミや中南米であるにも関わらず、夜間や室内を中心にして閉塞感を出し、1カットずつをシャープに仕立てる。打ち込みと重低音をメインにしたクラブ系の音楽で、カッコよさを醸し出す。拾い上げた絵をビシバシと切ってつないでテンポを上げる。
 要するに、話の薄さを見た目でフォローする映画なのだ。

 そんなわけで、退屈はしないけれど観終えた途端に忘れてしまう、どこがどう良かったのかを語るのに苦労する、そういう作品である。

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