ダブル・ジョパディー
監督:ブルース・ベレスフォード
出演:アシュレイ・ジャッド/トミー・リー・ジョーンズ/ブルース・グリーンウッド/ベンジャミン・ウェアー/アナベス・ギッシュ/デイヴ・ヘイガー/ジェイ・ブラゾー/ロマ・マフィア/ダヴェニア・マクファーデン/ジョン・マクラーレン
30点満点中16点=監4/話2/出4/芸3/技3
【騙された妻、息子を奪われた母が、復讐へと向かう】
ヨットの中で目を覚ましたリビーは、おびただしい量の血とナイフを見つける。夫のニックがいない……。だが殺人犯として逮捕・投獄されたのはリビー自身だった。息子マティのことだけを考えて刑期を過ごす彼女は、夫が生きていること、自分は夫にハメられたことを知る。仮出所を待って復讐へと向かうリビー。「同じ罪で二度裁かれることはない」という法の原則を利用しようというのだ。そんな彼女を保護監察官のトラヴィスが追う。
(1999年 アメリカ/カナダ/ドイツ)
【説得力不足で観るべきポイントに乏しい】
序盤が、ややかったるい。説明しなければならない事柄が多いのは仕方ないとしても、当然描くべきはずのポイントが抜けてしまっているため、モヤモヤっと進む感じだ。
リビーの髪型・顔つきの変化やマティのバースデー・ケーキで時間経過を示したり、ニックが生きていることを知るシーンでのタイミングのよさなど上手さもあるのだが、本来このパートは、精神的に追い詰められ、復讐の決意へと至るリビーの心理描写がメインとなるはず。それがアッサリとしすぎている。『親切なクムジャさん』くらいの、劇的な(けれど静かな)変化をヒロインに与えてもよかったのではないか。
出所後はテンポアップ。だが、キーである「同じ罪で二度裁かれることはない」というダブル・ジョパディーのルールを“どう利用するか”を描くのではなく、そのルールを利用できるかもと思い立ったリビーの行動(ニックの所在捜査)が物語の軸となる。
つまりサスペンスというより、適度にハラハラを散りばめたロード・ムービーの趣だ。
このあたり、どうもリビーが行き当たりばったり。彼女に絡んでくる警官やトラヴィスやパソコン兄ちゃんといった周辺人物と出来事も、登場と発生の都合がよすぎる。意味もなく親切な囚人やバーテン、簡単に奪えてしまう拳銃、いともたやすく手に入れられる住所、偶然そこにある画廊……。全体として展開のディテールに説得力がない。
そして、最後はバカ・アクションへと向かう。
幸い、アシュレイ・ジャッドは可愛いし、トミー・リーはそこにいるだけで場面を引き締めるし、ブルース・グリーンウッドは見るからに腹黒そうだし、といったキャスティングの確かさと、澱みのない(そのぶん浅いんだけれど)手堅い演出で最後まで退屈せず観られるが、「!」とか「ほぉ」といった“観るべきポイント”には乏しい作品である。
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