40歳の童貞男
監督:ジャド・アパトー
出演:スティーヴ・カレル/キャサリン・キーナー/ポール・ラッド/ロマニー・マルコ/セス・ローゲン/エリザベス・バンクス/ジェーン・リンチ/カット・デニングス
30点満点中15点=監3/話3/出3/芸3/技3
【童貞男の恋の行方は!?】
家電量販店で働くアンディ。部屋にはフィギュアがズラリと並び、夜はテレビゲーム、休日は料理、職場までは自転車で通い、身体を鍛えることにも余念がない。物腰穏やかで健康的にも見える彼にとって、唯一の悩みは40歳になったいまでも女性経験がないこと。それを知ったデビッド、ジェイ、キャルといった同僚は、あの手この手でアンディに“初体験”をさせようと企む。そんな時、アンディは向かいの店で働くトリシュと出会って……。
(2005年 アメリカ)
【せっかくのアイディアが、フツーに撮られている】
このテーマゆえに多少エッチなところがあるのは当然だが、思ったよりキワドクはない。タイトルに反してフツーのラブ・コメディだ。
そして、作りもフツー。
オープニングから数分でアンディがどんな人物かを自然と見せたり(乗ってる自転車&こぎかたなんか、もろに「イケてない大人」だもんな)、お話の飛ばしかたが気持ちよかったりと軽快さはソコソコあるのだけれど、パンっと弾けたところのないまま、登場人物の会話と出来事を“ただ撮る”だけで、華のないお話が進んでいく。
ユニークな表現もなし(ラストのおバカっぷりは微笑ましかったけど)、意外性も少ない、同僚たちがアンディの秘密に気づくのも唐突と、脚本も演出も練られていないし突き抜けていない感じ。もっと“あるあるネタ”を詰め込み、アンディに思いっ切り苦悩させて、クドイくらいコミカルに描いてもよかったのに。
類似の(あるいは真逆の)テーマを持つ『恋する40days』は「笑えるバカ・エロ・ラブ・コメではあるけれど、その配分はバカ1:エロ3:ラブ4:コメ2くらい」だった。こちらはバカ1:エロ2:ラブ2:コメ2程度で、どうも全体的に薄味。
この監督がシナリオを書いた『ディック&ジェーン 復讐は最高!』は軽さ薄さがテンポのよさにつながっていたけれど、本作は軽さがそのまんま表出して、なんだかバラエティ番組のコントを見せられている気分。ひとつのアイディアを映画化へ向けて消化・昇華させる作業が稚拙で、脚本・演出の両面ともに未完成さがある。
また、カットとカットのつながりが明らかに不自然だったりして、ずいぶん乱暴に作ったなというイメージも。せっかく面白いテーマだし、役者陣はそこそこ頑張っているし、「40代は新しい20代なんだ」なんていう素敵なセリフもあるし、クスリと笑わせる場面も多いのに、中途半端な仕上がりが惜しまれる作品だ。
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