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2008/05/23

16ブロック

監督:リチャード・ドナー
出演:ブルース・ウィリス/モス・デフ/デヴィッド・モース/ジェナ・スターン/デヴィッド・ザイアス/ケイシー・サンダー/ピーター・マクロビー

30点満点中16点=監3/話3/出4/芸3/技3

【簡単な仕事が一転、囚人とともに狙われるハメに】
 NY市警のジャック・モーズリーは、アル中でやる気ゼロ、任されるのは半端な仕事ばかり。その日、上司から言いつけられたのも、留置所に収監されているエディという若者を16ブロック先まで送り届けるという簡単な任務だった。ところが道中、謎の二人組の襲撃を受ける。応援を呼ぶジャックだったが、駆けつけたフランクらの様子がおかしい。実はエディは、警官らの不正を暴く証人として裁判所に出廷するところだったのだ。
(2006年 アメリカ/ドイツ)

【つまらなくはないが、練り込み不足】
 10年前に観たとしても、20年前だったとしても、たぶん抱いた感想は同じだったんじゃないかな。「ふつー」だ。

 つまらないわけじゃない。ほぼノンストップで逃亡と追跡、肉薄と抵抗を見せ切って退屈しない映画ではあると思う。でも、ヒネリとかトキメキとか圧倒的なリアリティとか凄まじいアクションとか、「この映画って、ココが最大の売りだよね」という部分がないのだ。
 同じブルース・ウィリス主演、同じ“巻き込まれ型刑事アクション”の傑作として『ダイ・ハード』があるわけだが、あちらにはテンコ盛りに用意されていた「今度はそう来たか!」「そこまでやるか!」「そういうことだったのか!」「そう見せるか!」といった悦びが、こちらにはない。
 設定から考えうる展開を、そのまんまストレートに映像にしてみました、という感じ。

 ジャックが「哀れな囚人と昔の相棒のどちらを信じるか」「そもそもエディは信頼に足る人物なのか」と逡巡するところ、あるいは10時までに送り届けなければならないというタイムリミット・サスペンス、さらにはジャックの窮地を救う何人かの行動の妥当性(特に最後のひとり)、それからジャックがこの街のすべてを知り尽くしているという設定を存分に生かした展開……など、いくらでも面白くふくらますことはできたはず。
 それらをゴッソリと削ぎ落として、観やすくスピーディな、けれども厚みのない105分にまとめました、という作品。大切な告白や状況説明をセリフに頼っているという安直さもある。

 せいぜい見どころといえるのは、『ダイ・ハード』のマクレーン刑事以上に「こいつ、いかにもダメなヤツっぽいなぁ」と感じさせるジャック・モーズリーを作り上げたブルース・ウィリスと、ニャーニャーうるさいが人はよさそうなチンピラ・エディを嬉々として(?)演じたモス・デフ、というチグハグなバディの愉快さくらい。
 あとは「バスの運転手のなぞなぞ」をスパイスとして効かせたところか。

 なんも考えずにそこそこ楽しめるが、もっともっと面白くできたよな、という印象を否めない映画である。

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