X-MEN:ファイナルディシジョン
監督:ブレット・ラトナー
出演:ヒュー・ジャックマン/ハル・ベリー/ファムケ・ヤンセン/アンナ・パキン/ショーン・アシュモア/アーロン・スタンフォード/ケルシー・グラマー/ジェームズ・マースデン/キャメロン・ブライト/ベン・フォスター/ヴィニー・ジョーンズ/エレン・ペイジ/ダニア・ラミレス/レベッカ・ローミン/パトリック・スチュワート/イアン・マッケラン
30点満点中16点=監3/話3/出3/芸3/技4
【ミュータント。それは“治療”されるべき者たちなのか?】
共存の道を模索する人間とミュータント。いっぽうある科学者が、ミュータントから突然変異因子を取り除く“治療薬”を開発する。「治療など必要ない」とする多くのミュータントの思いに反して、アイスマンと触れ合うことのできないローグの心は揺れる。そんな中、死んだと思われていたジーンが凶暴な潜在意識フェニックスとともに蘇生、マグニートーはフェニックスらを擁して人間に戦争を挑む。それに立ち向かうのはX-MENたちだった。
(2006年 アメリカ)
【不完全燃焼のまま終了】
ブライアン・シンガーが『スーパーマン リターンズ』へ行ったために降板、代わってメガホンを取ったのはブレット・ラトナー。で、共倒れに終わってしまった。
まず、お話が浅い。
本来なら本作は「自由意志による選択」をテーマに、ローグやジーンの苦悩、あとを託されたストームの戸惑いなどを軸として進むべきストーリーのはずだ。ミュータントを力任せに治療しようとする人類、それに真っ向から力で抵抗するマグニートーらブラザーフッド、間に立たされるプロフェッサーとX-MEN、それぞれの怒りや葛藤も描くべきだったろう。
ところが、ただアクションを盛り込むためだけの行き当たりばったりで強引な流れになってしまっている。これだけの大問題でありながら大統領と政府の影響力もまったくといっていいほど働いていない。次の展開へ向かうまでの“躊躇”とか“駆け引き”もない。
それなりにまとめてはあるけれど、深みと味わいは欠落。人間とミュータントの関係だって、まだまだこれからどうなるかわからんのに、えらくみんなサバサバしているし。エンドロール後の“ひねり”というか“おまけ”だけは好きなんだけれど……。
肝心のアクションも、思ったよりフツー。ジーンのパワー、ストーム対カリスト、アイスマン対パイロ、ウルヴァリン対ジャガーノートあるいはマグニートー、キティの壁抜けなど、それなりに能力と出来事の関連性は保たれているが、「そう来たか!」という驚きはなく、伏線と結果という妥当性も用意されていない。
シリーズを締めくくる決戦の割には、ミュータントたちが暴れる舞台がせいぜい一軒家と島だけと、スケールも小さい。
つまり、やっぱり浅いのだ。
脚本は『サスペクト・ゼロ』や『エネミー・ライン』のザック・ペンと、『Mr.&Mrs.スミス』のサイモン・キンバーグ。そこにブレット・ラトナーなんだから、まぁ「アクション主体の刑事モノ」っぽくなってしまうのは無理のない話なんだけれど。そのくらいの、小ささ浅さ。
評価できるのは、バラエティあふれる各能力を丁寧に描き分け、ダイナミックでクォリティも高かったCG/特撮関係くらいか。
あとは女優陣。ハル・ベリーは相変わらずキレイだし、ミスティーク役レベッカ・ローミンの美しい肢体を拝めたのも収穫。『ハードキャンディ』では垢抜けない小娘だったキティ役エレン・ペイジが、えらくチャーミングになっていたのにも驚いた。俺にくれ。
そんなわけで、不完全燃焼のまま終わってしまった3部作。もう20分長くして深みと味わいがプラスされていれば、そこそこのクライマックスにはなったはずなんだけれどなぁ。
あ、パート4がないわけでもないのか。それが本作以上に酷いものにならないことを祈ろう。
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