SAW 3
監督:ダーレン・リン・バウズマン
出演:ショウニー・スミス/バハー・スーメク/アンガス・マクファーデン/ディナ・メイヤー/ドニー・ウォールバーグ/トビン・ベル
30点満点中17点=監4/話3/出3/芸4/技3
【新たなゲームで、人々が試される】
人生を捨てた者に対し、生き残るための過酷な“ゲーム”を課し続けるジクソウ。いまや病の床にあって動くこともままならない彼だったが、後継者アマンダを得て、新たなゲームを仕掛ける。今回の被験者は、幼い息子を交通事故で失ったジェフ。彼は加害者や事件を裁いた判事、証言しなかった目撃者らに恨みを抱き続けていた。そして女医のリン。ジェフは憎むべき相手を許すことができるか、リンはジクゾウを救うことができるかを試される。
(2006年 アメリカ)
★ややネタバレを含みます★
【うげっ、いやーん、プラスアルファ】
さすがに3作目とあって、ジグソウによる仕掛け機械もややマンネリ化、映画の構造も、1作目が“見誤らせる”、2作目が“ずらす”という鮮やかさを示したのに対し、今回は“試す”になって衝撃度は薄れた。
そのぶん、どうやってショッキングにしたかというと、スプラッターでグロという手段。いやもう直視できません。これでもかっていうくらい、おぞましく血肉が吹き荒れる。
また、短いカットを畳み掛けたり、ぐりんぐりんとカメラを動かしたり、闇の中に人を潜ませたりと、恐怖感を助長する常套手段も前2作以上に強まった印象。つまり、「あっ」という驚きより「うげっ」「いやーん」「ふむふむ」を重視した作りとなっている。
おまけに過去2作を観ていないと、よくわからないストーリー。かなり観客を選ぶ映画だろう。
ただ、ゲームを仕掛ける側・仕掛けられる側の心理面を描くという、このシリーズの軸をぶらさなかったことは評価したい。
そう、構造的な面白さやショッカーの陰に隠れているが、「窮地で人は何を思うか」がSAWシリーズの主要テーマ。本作ではジグソウの周囲にいる人々が“試される”ことになり、それぞれの立場で悩み苦しむわけだが、その苦悩と全体の展開が密接に絡み合っている。また「苦悩があるからこそ仕掛け機械も過去作以上に残酷で理不尽なものになっている」ということに説得力もあるように感じた。
もちろん、いたずらに残酷描写ばかり増やすのではなく、ジェフ、リン、アマンダの心理面と、そこへ冷酷に迫るジクゾウの悪辣な律儀さをもっと掘り下げるべきだったとは思うが、単に「うげっ」「いやーん」だけにとどまらない“裏”のある作品になっているのではないか、と思う。
●SAW
●SAW2
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