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2008/05/26

レディ・イン・ザ・ウォーター

監督:M・ナイト・シャマラン
出演:ポール・ジアマッティ/ブライス・ダラス・ハワード/ジェフリー・ライト/ボブ・バラバン/サリタ・チョウドリー/シンディ・チャン/M・ナイト・シャマラン/フレディ・ロドリゲス/ビル・アーウィン/ノア・グレイ=ケイビー/ジューン・キョウコ・ルー/メアリー・ベス・ハート

30点満点中16点=監3/話3/出4/芸3/技3

【水の精を救うのは、僕たち】
 かつて人と水の精は、すぐ近くで暮らしていたという……。高層アパートの管理人クリーブランド・ヒープは、プールで溺れかけたところを裸の少女に救われる。彼女の名はストーリー、ブルー・ワールドからやって来たナーフの娘。アパートの住人・チョウさんの話では、ナーフは人間世界で“器”となる人物と出会い、故郷へ帰るのだという。伝説をもとに、器や彼女を助ける人物を探すヒープ。そこへ緑の毛の野獣スクラントが迫る。
(2006年 アメリカ)

【もうちょっと衝撃が欲しかったが、誠実だ】
「ポール・ジアマッティがいい役者だということは『サイドウェイ』でわかっていましたが、ブライス・ダラス・ハワードもステキですね」
「こういう“はかなげ”な質感の人は、無闇に喋らせないほうがいい」
「特に印象的だったのは、兄妹の部屋のシャワールームより、序盤、ヒープの部屋のシャワールームでのシーンでした」
「あそこはいいね。うなずいたり首を振ったりするだけで、じゅうぶん神秘性を醸し出していた」
「このふたり、日本に置き換えるとどうでしょう?」
「ストーリー役は綾瀬はるか。ヒープは難しいなぁ。小日向文世とか大森南朋、香川照之……」
「いずれにせよ冴えない感じ、でも演技力のある人で。逆に作家のビックは藤木直人とか玉木宏あたりにカッコよく演ってもらいましょうか」
「郊外のアパートで、プールの代わりに庭があって池がある。そのほうが神秘的な感じが出そう」
「物語の主は韓国人じゃなくズーズー弁のお婆ちゃんで、なにをいってるのかわからない、とか」
「そんな風に、軽く観るのが正解だね」

「でも意味ありげなファクターもかなりあります」
「重要人物をシャマラン監督自ら演じているんだよな。だから『ああ、これはシャマラン自身の周囲を作品に投影したのかな』と感じた。特に13Bの住人の言動からは『映画とは何か』というメッセージが漂ってきたんだけれど、そのあたりの読解は、悔しいことに下のレビューでいい尽されている」

●jtnews あにやん氏によるレビュー

「ああ、これ以上いうことはありません」
「だからこっちは、やっぱり素直に軽ぅく観ることにしよう」
「はい。当ブログでは『シャマランはオチやクライマックスや秘密や裏側に期待して観るな』という結論をすでに出していますから」
「ただしこの映画の場合、ハナっから『いや別に、オチものじゃありませんから。おとぎ話ですから』と断っているのが、これまでのシャマラン作品とは違うところ」
「そういう意味では誠実です。オモワセブリックな見せかたも、今回は控えめでした」
「うん。あり得ないくらい近い距離で回るカメラとか、やたらとフレームインを多用したりとか、ちょっと閉塞的な撮りかたで、それっぽいところはあるんだけれどね。それらを読み解くような映画じゃない」
「タートゥティックは3人のはずなのにエンドロールでは4人目がクレジットされていて、しかもそれがダグ・ジョーンズだっていうのも、たぶん大きな意味はないんですね」

「要するに、ヒープの頑張りにお付き合いしましょう、という作品。でも、だからこそもっとオモワセブリックに、寄り道するように撮ってもよかったんじゃないか、という気もする」
「すごくカッチリしていますものね。『キーとなる人物や事柄をちゃんと散らしておいて、それに対応する伝説を提示して、最後にちゃんとまとめる』という、まさにストレートな仕上がり」
「好みの作りではあるんだけれど、そこに衝撃がないんだ。なんていうか、A+B=Cと、キッチリ進めていく感じ。たとえば『オールド・ボーイ』とか『穴/HOLES』、ドラえもんなんかには『ああ、あのときのあれがAだったのか!』という驚きがあるでしょ。
 この監督の場合、持ち味であるオモワセブリックな表現が、最後になって『なぁんだ。ただそれだけのことかよ』になってしまうのが、いつものパターン。でも今回に限っては、お話がハナっからストレートなぶん、もうちょっと“不気味・不思議に思わせる工夫”を取り入れて、観客にいろんなことを考えさせて、で、最後に訪れるAとBとCのつながりに『そういうことだったのか!』という鮮やかさを持たせればよかったのにな、と感じた」

「あらためて、鑑賞法と評価の難しい監督だということがわかりました」
「それに、欠落している部分もある。『レジーは食い意地が張っているので雨が降ってもあそこにいた』という描写が先にあればもっと説得力は出ただろうし、ヒープと蝶の関係、ヒープがリーズ氏に寄せる尊敬の念、タートゥティックやスモーカーたちの扱いなんかも、もっと練って欲しかった」
「ただ全体としては、なんだかホっとしますよね」
「大人たちが大真面目におとぎ話に付き合う、その純真さが世界を変えるんだよ、という話だからね。観るほうとしても、ウラ読みとかを捨てて、ただ彼らの純真さを分け与えてもらうべき映画。そういう作りも、誠実だと感じる理由じゃないかな」

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» ■【映画】『レディ・イン・ザ・ウォーター』、M・ナイト・シャマラン。ひとの人生における役割は、他者との関係性の中で触発され、自らの中から生まれてくるものなのだ。 [そこに魂はあるのか?]
もしかするとナイト・シャマランの映画の中で一番気に入ってしまったかもしれない。 [続きを読む]

受信: 2008/07/20 20:22

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