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2008/06/06

遥かなる大地へ

監督:ロン・ハワード
出演:トム・クルーズ/ニコール・キッドマン/トーマス・ギブソン/ロバート・プロスキー/バーバラ・バブコック/コルム・ミーニイ/シリル・キューザック/アイリーン・ポロック

30点満点中16点=監4/話2/出3/芸4/技3

【若い二人は目指す、夢あふれる新天地を】
 1892年。西アイルランドの小作人たちは地主に搾取されて貧しく暮らしていた。ジョセフの父ジョーも苦しみながら逝き、その葬儀のさなか、地主からの使者スティーヴンはジョセフの家に火を放つ。復讐に燃えるジョセフは地主クリスティのもとへと向かうが、クリスティが人のいい老人であることに戸惑い、さらにクリスティの愛娘シャノンと出会ったことでジョセフの人生は大きく狂う。新大陸を目指すジョセフとシャノンの運命は!?
(1992年 アメリカ)

【大雑把の中に、光るもの】
 ロン・ハワードは4本に1本くらい、こういう大雑把な作品を送り出してくる。allcinemaにあった「アイドル映画」との評が、いいえて妙。「それではトム君、ニコール嬢、張り切ってどうぞー」のノリで、とりあえずふたりが画面にいればOK、みたいな。

 とにかく大雑把。登場人物に文学的なセリフを吐かせたかと思えばコメディにもなるし、身分違いの恋に由来する切なさは皆無だし、仇役スティーヴンの扱いは中途半端だし、せっかくのお笑い担当キャラ(?)であるクリスティ夫妻も登場機会は少ないし、宿の女たちも生かされていないし。
 アイルランドの農村、邸宅、船、ボストン、そしてオクラホマとスケール豊かに展開するのだけれど、それがかえって雑然とした印象を残す。かといってギッシリ感は、なし。なにしろジョセフとシャノンのモヤモヤした生活と苦悩を追っかけているだけだから。「2時間20分の内容、あったか?」と首をひねりたくなる。
 もっと各エピソードを掘り下げて全10回のテレビドラマにしたほうがよかったんじゃないか。

 とはいえ、ちゃんと破綻なくまとめてみせるのが、ロン・ハワードの偉いところ。モヤモヤしている割には良好なテンポ、蹄鉄や洗濯といったアイテムを生かした描写・展開など、映画らしさを示してくれる。
 当時の町や暮らしを再現した美術も良質で、セットくささや「用意しました」感は少ない。撮影は『バックドラフト』に引き続きミカエル・サロモンで、霧から砂埃まで、その場の空気の質感をしっかりと拾い上げる。ジョセフとシャノンがいる世界へ潜り込んで立体感や広がりを感じさせる、なかなかの絵作りだ。

 そして、大雑把な中にもしっかりと“普遍的テーマ”を仕込んでもある。
 寒さの中、他人の家へ忍び込むジョセフとシャノン。食料を漁るジョセフに対してシャノンはガラスに映った自らの姿に「みじめだわ」と漏らし、ただ生きることに懸命なジョセフと、より美しく生きたいと願うシャノン、ふたりの人生に対する価値観の違いをあぶり出す。
 が、そんなふたりにも同じ想いがある。緑の草原と小川。美しい世界で愛する者と手を取り合って暮らしていけたなら……。その「愛する者と暮らしていく場所」こそが、ランド(大地/土地)。
 想いを同じくしていればきっとそこへたどり着ける、いや、愛し合う男女の足もとと周囲には常にふたりのための世界が広がっている。そういうことを伝えたくて、俯瞰やロングショットを多用するのだろう。

 と、見るべき点もあるのだけれど、とにかく「ぶわーっと進めて、どぅわっと終わる」大雑把な映画なのである。

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投稿: ルイヴィトンバッグ | 2020/07/05 06:34

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受信: 2008/06/06 15:14

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