ファイナル・デッドコースター
監督:ジェームズ・ウォン
出演:メアリー・エリザベス・ウィンステッド/ライアン・メリマン/クリス・レムシュ/アレックズ・ジョンソン/サム・イーストン/ジェシー・モス/ジーナ・ホールデン/テキサス・バトル/シャーラン・シモンズ/クリスタル・ロウ/アマンダ・クルー
30点満点中16点=監4/話2/出3/芸3/技4
【いったんは逃れた死、だがそれは追いかけてくる】
卒業を控えた高校生たちでにぎわう夜の遊園地。カメラ担当のウェンディは事故を予見し、出発直前のジェットコースターから慌てて飛び降りる。予見通りに事故が発生し、犠牲となるクラスメイトたち。命拾いしたウェンディだったが、彼女と同じようにコースターから降りた者は次々と不可解な死を遂げる。以前にも同様の事件があったことを知ったウェンディやケヴィンは、あの夜ウェンディが撮った写真に“死のヒント”を探し始める。
(2006年 アメリカ/ドイツ)
【丁寧さはあるが新しさがない】
シリーズ3作目、監督は1作目のジェームズ・ウォンに戻った。「死神への対抗策」という新機軸を打ち出すなど上々の娯楽作として仕上がっていた第2作『デッドコースター』の後ということもあり、本家による新たな面白さが付け加えられるものと期待していたのだが、う~む、なんか1作目をやり直しただけ、という感じだ。
順番通りにどんどん死んでいく、それをどう防ぐかという構成はみんなわかっているわけで、問題は「どんな死に様を用意するか」「その過程をどう見せるか」の部分となる。
が、さすがに3作目とあって死のバリエーションは出尽くした感もあり、全体に「ふぅ~ん」程度(ますます『ピタゴラスイッチ』だもんな)、巻き込まれた当事者たちのキャラクターも、知らない間に死んじゃう人、なんとか抵抗しようとする人、不可思議な現象をバカにして取り合わない人と、ステロタイプな分類から脱することができていない。
そう、目新しさがないのだ。
ただ、丁寧に作ってあることは感じられた。
さまざまな『ピタゴラスイッチ』候補をきちんと積み重ねて拾い上げて、「これか?」「こっちか?」と、直後の死に様を観客に想像させるような作り。また、死のヒントや順番をキッパリと示さなかったり、画面に見にくい箇所を用意したり、ショッカー部分をズバっとシーン内に盛り込んだりすることでも恐怖感は増している。
遊園地、日焼けサロン、ファーストフード、お祭りなど“若者の身近にあるアイテム”をギッシリ詰め込んだことも評価できる。この手の映画って結局はデートムービーなのだから、観客である高校生・大学生たちが自分の周囲にある“死のきっかけとなりうるもの”を感じ取ってイヤ~な気分を抱いてくれれば、この映画も彼らの印象に残るというものだ。
ああそうだ、デートムービーなのだ。いい大人が観るもんじゃないな。デキの面でも、1作目と2作目でもう十分、という感じだし。
一応は新要素として「身勝手な死神はルールの盲点を突いてくるかもよ(=生き残った者たちに、まったく新しい死を与える)」ということを盛り込んであるのだが、それならそれで徹底してくれれば、新しい面白さを提供する映画になったと思うのだが。
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