スモーキン・エース
監督:ジョー・カーナハン
出演:ライアン・レイノルズ/レイ・リオッタ/ジェレミー・ピヴェン/ジョセフ・ラスキン/ジョエル・エドガートン/コモン/クリストファー・マイケル・ホーリー/ベン・アフレック/ピーター・バーグ/マーティン・ヘンダーソン/ネスター・カーボネル/クリス・パイン/ケヴィン・デュランド/モーリー・スターリング/アリシア・キーズ/タラジ・ヘンソン/ジェイソン・ベイトマン/ウラジミール・クーリック/マシュー・フォックス/アンディ・ガルシア
30点満点中18点=監4/話3/出4/芸3/技4
【銃撃戦を生き延びるのは、マフィアか殺し屋かFBIか】
マジシャンからマフィアの大物へと登り詰めたイズライルと、組織の首領スパラッザが対立を深める。FBIはイズライルに対し、身辺保護と引き換えに情報を提供するよう取り引きを持ちかけるが、スパラッザは報酬100万ドルを用意して殺し屋を送り込む。それを耳にした保釈保証人や殺し屋たちも、イズライルを確保して金を得ようとラスベガスへ向かう。周りはすべて敵だらけという、偽りと銃撃の舞台。果たして生き残るのは、誰だ?
(2006年 イギリス/フランス/アメリカ)
【シナリオに難あるが、スピーディ&クール&痛快】
映像が、素晴らしくスタイリッシュ。グリーンがかっていたりハイキーだったり、その場にあわせた雰囲気の絵がバシっと決まる。人の配置やプロポーションもシャープ、どのカットもそのままパンフレットやポスターに載せて問題ないほどクールだ。
かといって写真的というわけではなく、人物を後ろから追いかけたり見下ろしてみたり、寄って焦りを拾い上げたり超望遠で捉えてみたりと、目まぐるしく動いて立体的かつダイナミック(撮影は『キングダム/見えざる敵』や『アイランド』のマウロ・フィオーレ)。
そのカッコいい絵が、またカッコよく次のシーンへとつながる。クリント・マンセルの音楽も、ジャジーでファンキーでラウンジっぽくて、この手のクライム・ストーリー向けとしては常道というべきサウンド。
アクションも、近距離銃撃に遠距離狙撃、チェーンソーにナイフにマシンガンにクルマにエレベーターと実に多彩。観ていて飽きない。
いやもう、ここ最近の映画の中ではトップクラスの“決まりかた”じゃないだろうか。
出演陣も、なにげに豪華、かつ適確。コミック風の味つけを施されているのが効いていて、これだけの登場人物を配しながらもちゃんとキャラクターの造形が立っているのもステキだ。
ほどよく丸まりつつも仕事ができる人物の「切れ」を漂わせるレイ・リオッタ、ボロボロと崩れていくジェレミー・ピヴェン、トレモア兄弟たちの狂気とマヌケさ、早々に死んじゃうあの人、空手少年……。にぎやかで「犯罪者たちの宝箱や~」的な猥雑さに満ちている。
人物関係で特に目を引いたのが、まずはマシュー・フォックスのカジノ警備主任。楽しみながらもきっちりと「演じる」ことを完遂する。そのスタンスは本作の出演者すべてにいえることで、肩に力の入っていない感じが、リアリティと、「スタッフとキャストが面白がりながら作っている」という空気を同時にもたらす。
次いで、FBI副長官のアンディ・ガルシアと、メスナー捜査官役ライアン・レイノルズの絡み。ひと昔前はアンディ・ガルシアの方が血気盛んで上にたてつく若い男を演じていたんだよなぁと、楽しいツーショット。
そして、ジョージア役のアリシア・キーズ。きれーだなー。てか、歌ってるときと体型が違ってません? 美人度も上がってません? ってくらいキレイに撮れている。
と、眼に飛び込んでくるのは至福の要素ばかりなんだけれど、シナリオにはちょっと難あり。いや、これだけのハチャメチャをホントに上手にまとめてみせて、落とすところに落としてもあるんだけれど、かなりセリフに頼った説明が多い。
まぁ「わかりにくいところは口で説明しますんで、その他の部分をどぅばぁ~っと描くスピード感とカッコよさを堪能してくださいませ」という狙いはわかる。そのスピード感やテンポが“説明”によって削がれることのないギリギリのラインを保っているともいえるかも知れない。
いずれにせよ、極めて良質なクライム・サスペンス・アクションであることは確か。一瞬先を読ませず、息つくヒマなく次の展開を畳みかけてくる、痛快なジェットコースター・ムービーである。
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