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2008/07/26

FREEDOM

監督:森田修平
声の出演:浪川大輔/山口勝平/森久保祥太郎/桐本琢也/加藤精三/小林沙苗/小林由美子/秀島史香/松本大/福原耕平/田中一成/仙台エリ

30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4

【少年たちは目指す、まだ見ぬ地球を】
 宇宙ステーションの落下事故と戦争により、人類が地球に住めなくなった近未来。残された人々は月面基地を都市「エデン」に造り替え、徹底した管理体制の中で暮らしていた。レース用ビークルの改造に明け暮れるタケル、カズマ、ビスの3人は、地球から届いたと思しき1枚の写真を月面で拾う。裏には「私たちは大丈夫」の文字。写真の少女にときめいたタケルはアラン老人の力を借りて、密かに地球行きの計画を練り始めるのだが……。
(2006年~2008年 日本 アニメ)

【愛すべき作品】
 TVCM、TV放送、ネット放送、DVDパッケージ、イベントでの上映など各種形態での公開を前提とされている作品であり、デキもまぁそれ相応というか、冒険的なところ、優れた面、欠点がゴチャ混ぜの仕上がりだ。

 設定とストーリーは、やや稚拙に思える。「地球のためには人間はいないほうがいい」という前提は新鮮味のないものだし、ガキ数人が体制を動揺させるってのも、ある意味トンデモな“セカイ系”だ。

 科学考証的な瑕疵もあるだろう。火星入植への前線基地と考えればドームが月の裏側にあることはまぁ納得(地球が見えない位置にしか人間が住んでいないってのは不自然だもの)できるし、酸素の確保や土壌改良もギリギリ可能だったかも知れない。月の成分には鉄やチタンが意外と多く含まれているらしいから、大規模繁栄の説明もつく。
 が、ドーム内の重力コントロール、月面でひらひらと落ちる写真、とても厳格とは思えない管理体制、人類は失敗するという割に『EDEN』が失敗だと考えるものは誰もいないのか、そもそも『EDEN』ってジジイひとりしか責任者いないじゃん、FREEDOMってメンテナンス抜きで飛べちゃうのかよ、“タコ”マシンがあれだけ乱暴しているのに主人公たちがケガをしないってのも不思議だよね、あまりに頑丈すぎるビークル……。
 要するに「このへんはゴニョゴニョで」とご都合主義で済ませている部分が無視できないほど多い。
 展開も全体にダイジェスト的で性急、話をスっ飛ばし気味で、もう少し丹念に「人と人との心の交わり」に時間を割いても良かったと感じる。

 が、これらを補う見せかたの上手さ、丁寧さがあるのも事実。
 たとえば抜群のテンポで進み、ラストのセリフ「誰?」で締める第1話のワクワク感、それが地球と結びつく第4話の鮮やかさ、仕掛けで面白く見せる第6話など、上質な構成力を見せてくれる。
 演出的にも細かくて、カズマの部屋のクローゼットに宇宙服が吊り下げられているのをチラっと見せて「ああカズマはきっと変わっていないんだな」ということをわからせるなど、ぜぇんぶセリフに頼っちゃう愚に陥っていないのがいい。

 髪の毛やペンダントが揺れたり、人物の描写には手書きとCGを併用して生命感を出したり、ビークルレースでは極上のスピード感が創出されていたりと、作画面の頑張りも見事。
 かなり『AKIRA』のイメージを引きずってはいるものの、ビークル、計器などのガジェット、都市など、ディテールにまで凝ったデザインワークスも良質だ。宇多田ヒカルによるテーマ曲はキャッチーで、スリップ音から布の擦れる音まで音数が多く、近くのものは大きく&遠くのものは小さく聴こえる(当たり前なんだけれど)など音響的な作りも上々。

 つまり、毎週の締め切りに追われるTVシリーズとは異なり、1つ1つのパーツをしっかりと仕上げてあるなと感じさせる、丁寧さのある作品になっているわけだ。
 そして“結局はバカが歴史を作る”というテーマ性も個人的にはツボ。各所にマズさは感じるものの、いい部分もいろいろとあって、愛すべき作品である。

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