モンスター・ハウス
監督:ギル・キーナン
声の出演:ミッチェル・ムッソ/サム・ラーナー/スペンサー・ロック/スティーヴ・ブシェミ/マギー・ギレンホール/ジェイソン・リー/キャサリン・オハラ/フレッド・ウィラード/ケヴィン・ジェームズ/ニック・キャノン/ジョン・ヘダー/ライアン・ニューマン/キャスリーン・ターナー
30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4
【家が人を襲う! そのとき少年たちは……】
オンボロ家の家主ネバークラッカーさんは、前庭の芝に入った子どもたちから次々とおもちゃを奪って「二度と入るな!」と脅し続けていた。ハロウィンが近づく日、バスケットボールを拾おうと芝に立ち入ったDJとチャウダーの前で、ネバークラッカーさんは心臓発作で倒れてしまう。その夜、まるで意志を持ったように動き出して人を食い始めるオンボロ家。DJ、チャウダー、ジェニーは、何とか異変を大人たちに伝えようとするのだが……。
(2006年 アメリカ アニメ)
【ファミリー向けホラーCGアニメ】
意外と怖いんですけど。
いや、ビビって目を背けたくなるわけではないのだけれど、少なくともお子さまにはアクが強すぎるんじゃないだろうか。
可愛らしい女の子の歌声から一気に緊張へ。子どもたちの言葉を信用しない大人たち、バカなロック・ミュージシャン、犠牲になる犬と警官、ハロウィンという舞台設定、家が意志を持つに至った悲劇的な理由……。
道具立てと展開はディズニー系の善良なアニメとは異なり、もう明らかにB級ホラーのテイスト。底辺に流れている空気は湿っぽく、どこか暗い。
それを“家族連れ向けのアニメ”として見せていいのかという戸惑いが、みぞおちのあたりをくすぐる。
人物のデザインが、また独特。ゲーム版『バイオハザード』を意識したかのような「中途半端にリアル」な顔が、滑稽ながらも不気味に歪む。ジェニーやジーが見せる薄ら笑いや見くだした目線なんか、SですよS。
そんな人間たちの周囲には、風、芝生、スニーカーの靴底、ビール瓶、服のシワ、雨風にさらされて傷んだ家の壁、射し込んでくる光、炎に水……。それぞれ質感の表現は見事で、しかも“しなり”まで再現して動く。人物の動きにも“ムダ”がタップリ。
それらを、視点を固定しない実写的なカメラワークで見せる。
ただポリゴン・モデルを演算で処理して右から左へ移動させているだけじゃない。実在感ある世界構築と雰囲気作りに心を砕きつつ、ちょっと違和感も味わわせる微妙なCGとなっているのが特徴だ。
そうして怖さと暗さ(というか不快感)を増大させていく。なるほどホラーな味わいって、単にストーリーだけじゃなく、リアルの中に「ちょっと奇妙な空気」を潜ませることでにじみ出てくるものなのだなぁということがよくわかる作品。
まぁトータルで考えるとテーマパークのアトラクションを思わせるアドベンチャー・ムービー、やっぱり家族連れ向けか。そこにこっそりと毒を潜ませることで、“ファミリー向けB級ホラーCGアニメ”という特異なカテゴリーにおいて一応のスタンダードとなった、そんな映画だといえるかも知れない。
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