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2008/07/14

APPLESEED

監督:荒牧伸志
声の出演:小林愛/小杉十郎太/松岡由貴/小山茉美/藤本譲/子安武人/山田美穂/森川智之

30点満点中15点=監3/話1/出4/芸3/技4

【理想都市に共存する人類とバイオロイドの未来】
 戦争の終結を知らず闘い続けていた女性兵士デュナン・ナッツは、かつての恋人でサイボーグと化したブリアレオスらにより、理想都市オリュンポスへと連れて来られる。そこはバイオロイドと呼ばれるクローン人間と旧人類とが共存し、争いのない世界。だがバイオロイドの存在をこころよく思わないウラノス将軍やハデスら軍部は、密かにテロ計画を進行させる。その阻止のためのカギは、デュナンの失われた記憶にあった……。
(2004年 日本 アニメ)

【頭の悪いシナリオが、映画の格を落とす】
 収穫は、デュナンを演じた小林愛。『∀ガンダム』のリリ・ボルジャーノとか『クレしん』でのチャコ廉姫には何も感じなかったのだが、このハスキーで幸薄そうな声には痺れた。ヒトミ役・松岡由貴の“ことさらの声優演技”がハナにつくのを補って余りあるほど魅力的だ。

 モーションキャプチャーを利用した「フル3Dライブアニメ」とやらも、スピーディかつダイナミックなアクションを滑らかに表現して、一定の効果を上げていたように思う。そこで動くランドメイトや多脚砲台などのガジェットもなかなかにカッコいいし、夜の波の質感も上々だ。
 ただ、人の手と他人の肌やモノが接触するカットでは手が“浮いている”ように見えるなど、3DCGの限界も感じられる。トゥーンシェーディングの技術がまだこなれていないせいか、人物の陰影に違和感があったり服の質感がみぃんなエナメルっぽかったり。
 それでもまぁ全体として「スタイリッシュなアニメ」にはなっていたといえるだろう。

 問題はシナリオ。いやもう「どんだけ説明するねんっ」ていうくらい説明セリフが延々と続く。テンポ台無し。っていうか、映画として成立させようという意志が見えない
 航空機着陸時の管制塔との通話が頭の悪そうな日本語だったり、市民のいる市街地で何のためらいもなくドンパチやったり、そのへんのリアリティのなさも情けない。おまけに最後はオカルトだし。
 1時間45分では明らかに容量不足で、アテナの立ち位置、ヒトミと義経の関係やブリアレオスとハデスの因縁なども、ちゃんと時間を割いて描くべきものだったはず。
 20年くらい前のお子さま向けアニメから、お話作りの価値観や技量に関してはなぁんも進歩していないと感じた。

 少なくとも、人類の“種としての哀しさ”と登場人物の“個としての哀しさ”とをもっとしっかり葛藤させたりシンクロさせたりして、物語に深みを与えることはできただろう。
 そうした意味で、たとえば同種のテーマを扱った『地球へ…』とか『トゥモロー・ワールド』は偉大だなぁと思う次第。

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