AFRO SAMURAI
監督:木崎文智
声の出演:サミュエル・L・ジャクソン/ケリー・フー/ロン・パールマン/ユーリ・ローエンタール/ジェフ・ベネット/テレンス“TC”・カーソン/グレイ・デリスル/ジョン・ディマジオ/グレッグ・イーグルス/フィル・ラマール/クリスタル・スケールズ/タラ・ストロング
30点満点中16点=監3/話2/出3/芸4/技4
【復讐に生きる、二番ハチマキのアフロサムライ】
神に近づくことができる一番ハチマキと、その一番ハチマキを巻く者に挑戦できる二番ハチマキの伝説……。一番ハチマキだった父を二番ハチマキの男に殺された少年は、孤児たちを鍛え育てる師範に拾われて成長する。やがて成長しアフロサムライとなった彼は、二番ハチマキを手に入れ、父の仇が待つ須弥山への旅を続ける。が、二番ハチマキを狙う刺客や無無坊主たちが次々とアフロサムライに襲い掛かってくるのだった。
(2007年 アメリカ/日本 アニメ)
【見どころもあるが粗さも目立つ】
設定のアイディアとしては面白いし、バイオレンスものとしては珍しく主人公の心に迫るパーツが多数用意されている点もいい。
アフロサムライが残酷にならざるを得なかった葛藤(イコール残酷描写を入れ込むためのエクスキューズ)、アフロサムライの同行者ニンジャニンジャの存在、幼馴染との因縁、父の仇と同様に戦いの後でタバコを吸うアフロサムライの姿からうかがえるコンプレックス……。
が、パーツに凝りすぎて組み立てが疎か、ちょっと乱暴で詰め切れていない印象の残るお話だ。敵の女と寝ちゃうベタベタなアメリカン・バイオレンス風味にもシラケるし。
特に気障りなのが、全体にしゃべり過ぎであること。見てわかることをわざわざセリフで説明する箇所、見せてわからせる技量がないのでセリフで説明してしまう箇所が、かなり多い。アクションものなんだから「アフロサムライの120%の力」ってことは“描写”すべきだろう。“説明”しちゃってどうする。
演出的・見せかた的にも、いい点と悪い点が混在する。
色調を抑え、銀と墨とを塗り重ねることで作り出した世界感は良質。カメラの揺れや、最近ハヤリの「なんやわからんがごちゃごちゃっズバズバっと動く。その極短カットがもたらす迫力」などでスピード感を創出する手際もこなれている。
が、いっぽうで、ゆっくりした動きがギクシャクしていたり、あまりにデフォルメされた人物ゆえに本当の意味での“剣戟の凄さ”が出ていなかったりと、やはり詰め切れていない感じ。
そもそもアフロサムライが、どんな風に、どれくらい強いのか、というポイントが曖昧。ただ勝ってるだけ。そこが最大のネック。強さの理由、技のもっともらしさを出してこそのアクション映画だろうに。
結果、派手さと奇抜さと残酷描写だけがクローズアップされてしまう。どう見せるかという部分で未完成の作品になってしまった。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント