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2008/08/02

スピード・レーサー

監督:アンディ・ウォシャウスキー/ラリー・ウォシャウスキー
出演:エミール・ハーシュ/クリスティナ・リッチ/ジョン・グッドマン/スーザン・サランドン/マシュー・フォックス/スコット・ポーター/ポーリー・リット/キック・ガリー/ウィリー&ケンジー/ロジャー・アラム/RAIN(ピ)/ユ・ナン/ジョー・ベンフィールド/リチャード・ラウンドトゥリー/ベンノ・フユルマン/クリスチャン・オリヴァー/真田広之/ニコラス・エリア/アリエル・ウィンター

30点満点中20点=監4/話3/出3/芸5/技5

【なぜ人は走るのか?】
 レース中の事故で死んだ兄レックスを追い、自らもレーシング・ドライバーとなったスピード。父が作った「マッハ」号を駆る彼に、実業家ローヤルトンがスポンサーの名乗りをあげる。だがローヤルトンの狙いは、レースの結果次第で変わる参加企業の価値をコントロールすることにあった。スピードはレース業界にはびこる不正を暴くため、幼馴染のトリクシーや謎の人物レーサーXらとともに、危険なロードラリーへと挑むのだった。
(2008年 アメリカ)

【バカ兄弟の壮大なスピード絵巻】
 いゃあもう、ウォシャウスキーさん家のバカ兄弟、好き勝手やらかしてくれちゃっています。

 予告やCMを観て「え? まさか全編がこういう作りなの」と少々戸惑っていたのだが、まさに全編が“こういう”作り。
 135分のうち120分くらいがグリーン・スクリーンとCG。おまけにワイプの連続。『北斗の拳』のバッタもんも出てきて急にアニメ調になったりする。加えて『ハットしてキャット』なみの極彩色。
 よくいっても悪フザケ、あるいは何でもアリ。『ボンキッキ』とか『ウゴウゴルーガ』の1コーナーみたいな見た目。

 でも、これがまぁ新鮮なのだ。
 すごいのは「CGの中の人物」に違和感がないこと。いや、あるといえばあるんだけれど、やたらアップ気味の絵が多かったりとか、レース中のドライバーの顔にぐぅぉっと寄ったりとか、いきなりハートが飛んだりとか、アニメっぽいアングル/撮りかた/効果を徹底することで、いつしか「こういうもんだ」と思えてくる。ていうか「こうでなくちゃ」とすら感じられるようになる。
 極彩色の美術も実写パートとCGとの融合を助けているし、細部まで描き込まれた背景が作品世界に実在感をもたらしてもいる。

 そして、このスピード感。もうクルマの挙動とか耐久性なんか、てんで無視しまくり。それが『エピソード3』オープニングの20倍くらいスリリングでスピーディで「あり得ない~。けど面白い~」というレースシーンを作り出していく。レースというよりクルマの格闘技。そりゃあCGを使い倒さないと無理だわ(エンド・クレジットにはILMからデジタル・ドメインからもっと小さなところまで、ズラズラっとCGスタジオが並ぶ)。

 強烈な見た目と、またオープニングには時制の使いかたの上手さもあったりしてグイグイと引き込んでいくもんだから、強引&やたらとセリフで説明するシナリオも気にならなくなる。
 それに、とりあえず説明が必要なところは無理にヒネったりせずストレートかつパパパっと説明をすませちゃって、後は存分にスピードと迫力を味わってください、という、ある意味で潔い流れ。あんまり頭を使わなくていいぶん、これが正解かも。「Children,Focus!」とか、クールさ満載だし、実にテンポがいい。
 替え玉はあるしカンフーはあるしレスリング王者はいるし、ストーリー面のグチャグチャ加減も微笑ましい。

 引き込まれるにつれ、最初は地味に思えていたエミール・ハーシュが頼もしく見えてくるのだから不思議。クリスティナ・リッチもいつの間にか別嬪さんになっているし、ジョン・グッドマンとスーザン・サランドンの貫禄、マシュー・フォックスとベンノ・フユルマンのカッコよさ、ロジャー・アラムの憎憎しさも上質。チムチムも演技がお上手だなぁ。

 引き込むパワーの源になっているもう1つの大きな要素が、音。レースカーが画面を横切ると、音もまた塊となって目の前を横切っていく。あの懐かしのテーマ曲をフィーチャーしたBGMもワクワク感いっぱい。
 何より感動したのが、ジャンプするときの「ひゅんひゅんひゅん」っていうSE。やっぱマッハ号は、こうでなくっちゃ。

 ああ、あらためて見ると、マッハ号って美しいよなぁ。「これ、ビュンビュンと動かしたいっ」と思うのも無理ないもの。
 そう確かにこれは、ウォシャウスキー・ブラザーズという稀有な才能の持ち主が「こうしたいっ」と頭の中で思ったことをそのまんま好き放題に映像化することに成功した、壮大なスピード絵巻。もともとコイツらって、そういうタイプなわけだし。もうママが受話器を取るところからしてウォシャウスキーだから。

 まぁ一般的には受けないだろう。失敗作というウワサも聞こえてくる。けれど、この「やりたいことをやりましたー」は支持したい。「あははは。いきなり『ベルヌーイ収束器』って何やねんっ。でもカッコいいから許す」という価値観で観るべき映画だ。

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