シャーロットのおくりもの
監督:ゲイリー・ウィニック
出演:ダコタ・ファニング/ケヴィン・アンダーソン/エシー・デイヴィス/ルイス・コーベット/ゲイリー・バサラバ/ネイト・ムーニィ/ボー・ブリッジス
声の出演:ジュリア・ロバーツ/スティーヴ・ブシェミ/ジョン・クリーズ/オプラ・ウィンフリー/セドリック・ジ・エンターテイナー/キャシー・ベイツ/レバ・マッケンタイア/ロバート・レッドフォード/トーマス・ヘイデン・チャーチ/アンドレ・ベンジャミン/ドミニク・スコット・ケイ/サム・シェパード
30点満点中17点=監3/話2/出4/芸4/技4
【春に生まれた子ブタは、雪を見たかった】
エラブル家の農場で生まれた11匹の子ブタたち。でも母親のお乳は10個だけ。危うく処分されそうだった小さな1匹を、娘のファーンがウィルバーと名づけて育て始める。大きくなったウィルバーは隣のホーマーさんにもらわれることとなり、そこにいたガチョウやヒツジ、馬、ネズミたちと仲良くなろうとするのだが、ブタに待っている運命は……。納屋に住み着いたクモのシャーロットは、心優しいウィルバーを救うための策を練る。
(2006年 アメリカ/ドイツ)
【ファンタジーの中のリアリティ】
ハッキリと、きれいごとであり、絵本の世界である。けっこうな数の人間は出てくるし、ボイス・キャストなんかムダに豪華なんだけれど、たいしてキャラクターを掘り下げもせず、ひたすらファンタジーで突き進む。もうストーリーの枝葉なんか一切ないもんね。いきなりブタが生まれて、いきなり飼い始めちゃうし。
ただ、だからこそメッセージは直接的だ。
奇跡は身近に潜んでいる、昨日と同じ今日が繰り返されることこそ奇跡、その奇跡の中で僕らは生かされているのだということ……。
ああ助かってよかったね、ではなく、もういちど僕らの周囲の“ありふれた奇跡”を見つめ直し、喜ぼう、という映画だろう。
そうしたメッセージをしっかりと伝えるために、意外なほどリアリティというか、世界の構築には気をつかっている。
どこからどこまでがホンモノでどこからがCGなのかアニマトロニクスなんだか見分けのつかない動物たちはもちろんのこと、より強いこだわりを感じさせるのが“空間”の作りかた。エラブル家と隣家との位置関係や距離、納屋の中のレイアウト、そこにはモノがあってこっちから撮るとこう見えるけれどあっちからはこう見える、といった配置を正確に画面の中で再現し、映画世界に実在感をもたらしているのだ。
単なる絵空事で終わらせず、“僕らが実際に存在する世界での出来事”であることを示すのに、必要不可欠な方法論だろう。
そんなわけで、無性にベーコンが食べたくなるのである。
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