エラゴン 遺志を継ぐ者
監督:シュテフェン・ファンマイアー
出演:エド・スペリーアス/ジェレミー・アイアンズ/シエンナ・ギロリー/ロバート・カーライル/ギャレット・ヘドランド/クリストファー・イーガン/ジャイモン・フンスー/アラン・アームストロング/レイチェル・ワイズ/ジョン・マルコヴィッチ
30点満点中16点=監3/話2/出4/芸3/技4
【ライダーの遺志とともに、少年は空を往く】
かつては平和を謳歌した国、アラゲイシア。だがドラゴンライダーのひとりガルバトリックスの裏切りにより、いまや恐怖の治世が続いていた。反抗勢力のアーリアはガルバトリックスから力を秘めた石を奪い、その石は農家の少年エラゴンの手へと渡る。エラゴンに迫る、魔術師ダーザの放った追っ手。エラゴンは、目覚めたドラゴン=サフィラと、この国の過去を知るらしい謎の男ブロムとともに、反抗勢力ヴァーデンのいる砦を目指す。
(2006年 アメリカ/イギリス)
【退屈はしないが既視感たっぷり】
それにしてもまぁ見事にフォーマット通りのファンタジーだ。
邪悪な王に魔術師、ドラゴンに剣士、囚われの姫に怪しげな味方、少年の旅と師弟関係と成長……。真新しさがこれっぽっちもない。
しかも、どんどんお話を端折っていく。ブロムの過去、ブロムとエラゴンの師弟関係、エラゴンとアーリアの心の交流、ヴァーデンの暮らしなど、もっと細かく描くべきだろうに。ジョン・マルコヴィッチの王様なんか、ふんぞり返っているだけだし。
この“すっ飛ばし”が性急な展開を生み、オリジナル要素が削ぎ落とされているせいでますます既視感は強まっていく。
撮りかたも、『LOTR』あたりから引用したようなカットが多く、やっぱり「どこかで観たな」的だ。ただ、そんな既視感が安心感にもなる。あまり深く考えずに観ていられるのだ。
ロケーションは抜群、温度・湿度を感じられる映像、重厚なBGMなどが観るものをスンナリと異世界へ誘う。少しだけイギリスっぽい沈んだ色調もいい。
CGも良質。スピード・浮遊感・重さを感じさせるドラゴンのデキはなかなかのものだし、カメラが縦横に動き、そこに人とCGとが融和して存在することで画面に格調高さが生まれている。CGをこれ見よがしに押しつけるというよりも、カット/シーンを構成するための1要素として扱っていることに好感を覚える。
サフィラに驚く馬の手綱をぎゅっと引くエラゴンなど、意外と細かな部分に配慮した演出もまずまずだろう。
主演エド・スペリーアスは「華がない」ともいわれるが、なんのなんの、エラゴンというキャラクターにはハマっているんじゃないか。ジェレミー・アイアンズは、まだ見せ場もミステリアスなところも少ないキャラクターではあるが、渋さで画面を引き締める。ロバート・カーライルの悪役ぶりも意外とイケている。
まぁそれらをフっ飛ばすくらいシエンナ・ギロリーが美しいわけだが。
と、マズイ部分といい部分とがハッキリしている映画。そして、内容がない割には退屈しない映画。
けれど、同じドラゴン&ソードをなら『ドラゴンハート』(ロブ・コーエン監督)のほうが200倍くらい面白いのは確かだ。
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