ザ・シューター/極大射程
監督:アントワン・フークア
出演:マーク・ウォールバーグ/マイケル・ペーニャ/ダニー・グローヴァー/ケイト・マーラ/イライアス・コティーズ/ローナ・ミトラ/ラデ・シェルベッジア/ジャスティン・ルイス/アラン・C・ピーターソン/レイン・ギャリソン/ネッド・ビーティ
30点満点中16点=監3/話3/出3/芸3/技4
【裏切られた軍曹の、逃走と逆襲】
凄腕のスナイパーとして知られたボブ・リー・スワガー軍曹。アフリカでの極秘作戦中に上層部から見捨てられて相棒を失ったことから、いまは退役して愛犬と山奥に暮らす。アイザック・ジョンソン大佐に請われて大統領暗殺計画の阻止に協力したスワガーだったが、これは罠。何者かが大統領を狙撃し、スワガーは容疑者として追われることになる。FBIの新米捜査官ニックや、死んだ相棒ドニーの妻サラを巻き込み、スワガーの逆襲が始まる。
(2007年 アメリカ)
【駄作ではないが、見どころもない】
裏切り、国家規模の計略、至近距離のアクションに銃撃戦、アメリカ帝国主義への自嘲、意外な協力者など、『逃亡者』ライクというか、この手の映画に“ありがち”な要素をふんだんに散らしてある。
それを、スローとかド派手な爆発とか畳み掛ける展開とか、やはりストレートな演出で手堅く作った映画。
ただ、それ以上ではない。“厚み”がないのだ。
銃創を丁寧に治療するシーン、撃ち抜かれる頭など、妙なところのディテールには凝っているのだが、本当の意味で映画を面白くするためのディテールはまるでなおざりだ。
たとえばスワガーが凄腕のスナイパーであるという点は、もう問答無用の大前提として扱われている。その割に、腕前が十分に生かされたシーンはプロローグのみ。このあたり、スワガーにしか出来ないこと、長距離射撃ならではの見せ場、スワガーとドニーの信頼関係、彼がなぜそこまで射撃が得意なのかを示すエピソード……など、いくらでも物語に厚みを持たせる描写は盛り込めたはず。
少なくとも、スワガーが銃器および国家に抱くこだわりを序盤でしっかり見せておけば、彼が無実であることを証明する場面にももう少し説得力が加わっただろう。
FBI捜査官ニック・メンフィスにしたって「マイケル・ペーニャって上手いなぁ」ということだけは伝わってくるが、キャラクターとしての魅力に欠けるため、その上手さが輝かない。
そう、全体として、迫力はあるけれど薄い、という仕上がり。
だいたい「殺しちゃえばカタがつく」という極悪な相手に対して、やっぱり「殺しちゃえばカタがつく」の価値観で向かっていくなんて、なんとも能天気な物語。
まったくの駄作というわけではなく、最後までスピーディに観ることはできるけれど、「ここがスゴイ!」という部分もない作品だ。
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