ドリームガールズ
監督:ビル・コンドン
出演:ジェイミー・フォックス/ビヨンセ・ノウルズ/エディ・マーフィ/ダニー・グローヴァー/ジェニファー・ハドソン/アニカ・ノニ・ローズ/キース・ロビンソン/シャロン・リール/ヒントン・バトル/ジョン・リスゴー
30点満点中17点=監4/話2/出4/芸4/技3
【夢を追い続けた彼女たち】
ディーナ、エフィ、ローレルの3人からなるコーラス・グループ“ドリーメッツ”は、ミュージック・ホールのコンテストに何度も出場するがチャンスをつかめないでいた。ヴィジュアル的にも実力的にも見どころのある彼女らに目をつけた自動車ディーラーのカーティスは、コーラス隊に去られたばかりのジェームス・アーリーに3人を売り込む。さらにカーティスは、さまざまな手で彼らを人気者にしようとし、その夢は実現していくのだが……。
(2006年 アメリカ)
【オンとオフを音楽に乗せて描く】
ホットなナンバーでスタート。以後も色とりどりの、そして優れた楽曲に乗せて、ステージのオンとオフの様子が描かれていく。
オンの風景は、かなり苦労して演出している感じ。基本的に「ステージ上で歌う3人(プラス・アルファ)」という絵ばかりなので、それを楽しく見せるべく、華やかな衣装、独特の振り付け、ライティング、カメラワークなどに工夫を凝らしつつ、かといって奇をてらったものにならないことにも気を配って、かっちり丁寧に仕上げてある。
ここで光るのが、オスカー・ウィナーのジェニファー・ハドソン。正直、女優としてはまだまだだと思うが、ステージ・シンガーとしては出色。役と作品に“ハマった”といえる存在感を示す。
いっぽうオフのほうも興味深い。やや言葉足らずだが、逆にいえば“語りすぎない”ことが徹底されている。全人物の心情を「表情で見せる」という演出プランがユニークだ。バックステージで粛々と楽器を準備するバンドメンバーの姿にも味わいあり。
こちらで気を吐くのがジェイミー・フォックス。いわゆるヤマ師の役割を鋭く演じ、相変わらず歌も抜群。エディ・マーフィも持ち前のアクの強さを上手に「浮き沈みの激しいミュージシャン」へと転化させていて、なかなかのもの。
で、そうしたオンとオフ、2つの光景の結びつけかたは、まさに「音楽に乗せて描く」という方法論。出来事は端折られ、会話からセリフが消され、代わりにBGMが前に出てポンポンとお話が進んでいく。新鮮かつアップテンポ。
そのぶん物語は薄くなり、唐突&ありきたりな展開になってはいる。だが重みを犠牲にしてでも、流れのよさと、「人生は音楽とともにある」というイメージを出したかったのだろう。その狙いが感じ取れる仕上がりだ。
それにしても、冒頭のコンテストのレベルの高さといい、ジェニファー・ハドソンというタレントがポコンと出てくることといい、やはりアメリカにはショー・ビジネスの遺伝子がしっかり生きているのだなぁ。
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