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2008/11/21

パーフェクト・ストレンジャー

監督:ジェームズ・フォーリー
出演:ハル・ベリー/ブルース・ウィリス/ジョヴァンニ・リビシ/リチャード・ポートナウ/ゲイリー・ドゥーダン/フロレンシア・ロザーノ/ニッキー・エイコックス/ゴードン・マクドナルド/ダニエラ・ヴァン・グラース/ポーラ・ミランダ/クレア・ルイス

30点満点中16点=監3/話3/出3/芸3/技4

【殺された幼馴染。真犯人は……!?】
 特ダネばかりを追い続ける記者ロウィーナのもとに幼馴染のグレースが持ち込んだネタは、広告代理店の社長ハリソン・ヒルについてのスキャンダルだった。が、その直後、グレースは溺死体として発見される。仕事のパートナーでコンピュータのエキスパートでもあるマイルズの助けを得ながら、派遣社員としてヒルの会社に潜入するロウィーナ。どうやらハリソンは名うてのプレイボーイらしく、ロウィーナにも興味を示して彼女に接近する。
(2007年 アメリカ)

【途中まではいいけれど、トータルでは不完全】
 中盤までは上々のデキ。「こんな風に撮りたい」という意志が前面に出た画面を見せてくれる。
 カメラが横にゆっくり動いたり、目の前を横切る電車を利用したシーン遷移があったり、1カットの中の数コマを飛ばしてみせたり……。
 奇をてらった絵作りではなく、各シーンにキーとなりそうな人物や出来事を適度に散らし、BGMで怪しげな空気を盛り上げて、推理サスペンスとしては手堅い仕上がりだ。

 が、その手堅さが一気に崩れてしまうクライマックス。まぁ裁判の様子をドドドっと畳み掛けたのはいいとしても、真相を「これこれこういうことだった」とセリフ(脅迫)で説明しちゃうという愚。
 せっかく真相そのものはそれなりに興味深いものなのに、台無しだ。

 そもそも観客が真相を読むための情報=伏線を作中に配置する技が、量的にも質的にもダメだ。「キーとなりそうな人物や出来事を適度に散らし」てあるのは確かだが、怪しげな(というか役名のある)人物の描きかたが、ずいぶんなおざり。ある程度までキャラクターを掘り下げられるのはロウィーナとハリソンとマイルズだけ、「ひょっとしてコイツが犯人?」というミスリードが決定的に不足している。
 で、そんな中でも有用となる情報は、クライマックスで「あっ、そういうことか!」という驚嘆に結びつかず、「ふーん、そういえばそういう情報もあったかしらねぇ」くらいで収まる。
 キャッチコピーは「ラスト7分11秒まで、真犯人は絶対わからない」だけれど、どっちかというと「わからせるつもりはありません」的だ。

 監督は“ギリギリ及第点”と評価した『コンフィデンス』のジェームズ・フォーリー、原案は“あと一歩詰め切れていない”と感じた『テイキング・ライブス』のジョン・ボーケンキャンプ。そのへんのメンバーが作っているわけで、多くを望むのは酷だったか。

 ハル・ベリーは依然として色っぽく、意外にも肩の力を抜いた軽い芝居で新鮮味を感じさせてくれるし、ジョヴァンニ・リビシの働きぶりも良。ブルース・ウィリスは別にブルース・ウィリスでなくてもよかったと思うが、これまた軽ぅく「底がわからない人物」を演じる。
 それら出演陣と手堅い前半のおかげで退屈せずに見られるが、ミステリーとしては不完全な映画だろう。

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