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2008/11/09

デビルズ・バックボーン

監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:フェルナンド・ティエルブ/イニゴ・ガルセス/アドリアン・ラマナ/ジュリオ・バルヴェルデ/エドゥアルド・ノリエガ/マリサ・パレデス/フェデリコ・ルッピ/イレーネ・ビセド/ホセ・マヌエル・ロレンソ/フランシスコ・マエストレ/ベルタ・オヘア

30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4

【亡霊は何故生まれ、何を訴えるのか?】
 内乱に荒れるスペイン。父を亡くしたカルロスは、共和派が営む孤児院へと連れて来られる。与えられた12番のベッド、砂埃の中で繰り返されるハイメとの小さないさかい、院長が隠し持っている金塊を狙うハシント、庭に突き刺さった不発弾……。カルロスはそんな孤児院で、影を目撃し、「大勢死ぬぞ」という奇妙な声を聴く。どうやらサンティという死んだ少年の亡霊らしい。12番のベッドは、かつてサンティが寝ていたものだった。
(2001年 スペイン/メキシコ)

【戦争における因果と連鎖】
 体裁はホラーである。
 カメラがゆっくり左へ動き、また右へと戻ったときには不思議なものが映っている、あるいは消えている、というセオリー通りの撮りかたと、弦を中心とした暗い音楽。
 土埃、なめくじ、走る影、暗い部屋、血、汚水、高圧的な人物、胎児など嫌悪感を抱かせるものもふんだんに配置されている。
 亡霊の復讐譚というストーリーも、ホラーの王道だろう。

 が、『パンズ・ラビリンス』がそうであったように、本作が反戦映画であることは明らかだ。
 間近に迫った死が、校庭に突き刺さる不発弾や12番(不吉な13の一歩手前)のベッドで暗示される。他人の死を糧として生きる人間という種の業を、瓶詰めの胎児で強烈に印象づける。

 とりわけ大きなメッセージとして用意されているのが、戦争における因果と連鎖だ。大人の、利己的で刹那的で自滅的な暴力と妥協と保身が、より大きな争いを引き起こすという事実。その中で「暴力には数で抵抗する」という論理を身につけてしまい、やがて大人になるであろう子どもたち。
 後先考えぬ、その場を切り抜けるための行動が、すべての人から未来を奪ってしまうのである。
 無念にあふれる死人の声に耳を傾けても、結局はまた暴力を繰り返してしまう罪深き人……。

 暗がりから明るい場所へと歩き出す少年たち。が、その行き先が必ずしも光で満ちているとは思えない。哀しい余韻を残す映画である。

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