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2008/11/05

ディスタービア

監督:D・J・カルーソー
出演:シャイア・ラブーフ/サラ・ローマー/キャリー=アン・モス/アーロン・ヨー/ホセ・パブロ・カンティージョ/マット・クレイヴン/ヴィオラ・デイヴィス/デヴィッド・モース

30点満点中17点=監4/話3/出3/芸3/技4

【家から出られない少年が目撃したのは……】
 自ら起こした自動車事故で父を失ったケール。なかば自暴自棄になっていた彼は学校で教師を殴り、3か月間の自宅禁固を命じられる。足首には発信機が取り付けられて行動範囲は自室から半径30m以内に制限、ゲームやテレビも取り上げられたケールは、双眼鏡で近隣の家を覗きはじめる。隣に引っ越してきたアシュリー、不倫する向かいの住人、イタズラ坊主たち……。やがて彼は隣家のターナー氏が連続殺人犯ではないかと疑うようになる。
(2007年 アメリカ)

【丁寧に作られているが、欠けも目立つ】
 敬愛するヒッチコックの『裏窓』に、現代風&青春コメディ風の味つけを施してリメイクしたような内容。ネットゲームにPSPにカメラ付きケータイにiPodにビデオカムと、昨今の若者には不可欠なアイテムをたっぷりと用意し、「ああ、もう『Lovin' You』なんて流行らないんだ」と知らせてくれたりもする。

 いいなと感じたのは、序盤。理不尽な展開で自室に縛り付けられることになる様子をキッチリかつテンポよく描いたところ。また、最初はアシュリーの姿を覗き見ることに躊躇いを感じるケールが、結局は彼女のスケジュールを把握してアラームまで使って監視するようになるという、思春期の揺れも気に入った。

 ただ、そこからは“欠け”が目立つようになる。

 たとえば、せっかく「父(作家)を失った書斎」という舞台設定があるのに生かし切れていない。そこで連続殺人事件に関する資料を見つけるとか、イスに座って「父さんはどんな景色を見ていたんだろう?」と感慨にふける場面を用意するとか、この場所を話に奥行きを与えるために使えたはずなのに。覗く相手も4件だけと少ないし。
 足首の発信機も「家から離れれば警官が飛んでくる」ことのほかに「自由に動けない」という怖さ創出にもっと活用できたはず。またアシュリーの立ち位置/キャラクター設定が曖昧だから「信じてもらえないもどかしさ」も出せていない。
 とりわけ、ターナー氏の行動に怪しさが少ないことが痛い。もっと「どうとでも解釈できること」を盛り込んで、どうなのよ、彼がやったのか、それともケールの思い込みか、というジワジワハラハラを盛り上げるべきだったろう。
 そうしたスリルが全体に足りず、ケールとアシュリーの恋模様に時間を割きすぎている感じだ。

 そして決定的に、この映画が傑作・良作の位置から離れてしまう因となったのがクライマックス。いや、誰もバカ・アクションを期待して観ないでしょうが……。

 こうしてみると、いかに『裏窓』がサスペンスとラブとユーモアのバランス感覚に優れているかがよくわかるわけだが、まぁそれは比べる相手が悪いというもの。なにやら盗作・訴訟騒ぎにまでなったらしいが、いやいや、そんな目くじらを立てるほどの相手ではないでしょ。
 まぁ単独の作品として考えると、本作は“ほどほど”のデキ。前述の通り序盤には味があり、セオリーにのっとって短いカット&スリリングな音楽で怖さをかき立て、見せるべきものの見せかたもスマート、丁寧には作られている。
 ただ、立ち向かった相手が偉大すぎたということだ。

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