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2008/12/03

ゴーストライダー

監督:マーク・スティーヴン・ジョンソン
出演:ニコラス・ケイジ/エヴァ・メンデス/ウェス・ベントリー/サム・エリオット/ドナル・ローグ/マット・ロング/ラクエル・アレッシ/ブレット・カレン/ローレンス・ブルース/ダニエル・フレデリクセン/マシュー・ウィルキンソン/ギブソン・ノルティ/デイヴィッド・ロバーツ/アーサー・エンジェル/ピーター・フォンダ

30点満点中17点=監3/話3/出4/芸3/技4

【悪魔との契約から生まれたヒーロー】
 狡猾な悪魔メフィストに騙され、父を救う代わりに魂を売り渡したスタント・ライダーのジョニー・ブレイズ。そのせいで恋人ロクサーヌとも別れざるを得なくなる。十数年後、メフィストの息子ブラックハートは邪悪な魂を解き放って新しい地獄を作り出そうとする。メフィストとの契約に従い、髑髏の英雄・ゴーストライダーとしてブラックハートと対峙するジョニー。だが悪魔の手は、愛しきロクサーヌにも伸びようとしていた。
(2007年 アメリカ)

【ディテールに楽しさあり】
 オーバーラップとズームと寄りで作られるスタイリッシュな画面、アニメタッチのレイアウトに、ハードロックと西部劇とを掛け合わせたBGMが派手に乗っかる。スピーディで、でもかなり大雑把な作り。ぶわぁ~っと悪役が来てぐぅわぁ~っと倒されてお終い、みたいな。
 まぁアメコミ・ヒーローものに深みなんて求めなくていいんだけれど。

 いっぽうで、ディテールに凝った部分も結構ある。
 ジョニーの好物がジェリービーンズだったりだとか、TV大好きで中でも猿が出演する番組にご執心だったりだとか、カーペンターズを聴いていたりとか、魔物どもが黒のロングコートで決めていたりとか、チョッパー・ハンドルだとか、頭から炎が出るとスプリンクラーが作動したりだとか……。
 狭いところを駆け抜けたりビルを昇ったりと、バイク・アクションはかなりのスピード感と迫力。CGも良質。別になくてもいいんだけれどゴーストライダーが街中をぶっ飛ばすと路上駐車のクルマがボーンなんて場面もある。

 そういう細かい部分で「こうすると、ちょっとだけ楽しくなるよね」という意識を大切にしている映画だ。
 伝説のライダーであるピーター・フォンダや『Riders In The Sky』をフィーチャーしたのだってコダワリに他ならないわけだし。

 楽しんでいるといえば、キャストもそう。ニコラス念願の企画だったとかで、もう面白がって演っているのがアリアリ。それにピーター・フォンダもきっちりお付き合いするし、ケアテイカー役サム・エリオットの「いや、こんな人は現代にいませんよ」的な渋みもなかなかのものだ。

 そういう「ここにはコレを入れとかなきゃ」「この人に、こんな風に演じてもらおう」という思いを疎かにしていないことに加え、アメコミものには珍しく陰影たっぷりの撮影で上質の空気感を漂わせて、ただの“ぶわぁ~&ぐぅわぁ~”じゃない、楽しいものに仕上がっている。

 とはいえ、悪党どもが意外とあっけなくて、カタルシス的には他のヒーローものに負けているのは確か。ひょっとすると次から次へと襲い来る悪魔たちを毎週やっつけるTVシリーズにしたほうが、もっと面白いものになったかも。
 あ、いっそのこと『仮面ライダー』を、この設定のまんまやっちゃえばいいんだよ、なんて思う。悪魔との契約なんて、いかにも平成ライダー的。ライダー(もちろん複数人の“契約者”が登場)と、メフィストと、ブラックハート勢と、警察と、四つ巴の対立関係にすれば話も広がるし。
 そんな「楽しい想像」もできる、軽くて飽きない作品。

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