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2008/12/09

どろろ

監督:塩田明彦
出演:妻夫木聡/柴咲コウ/瑛太/杉本哲太/土屋アンナ/麻生久美子/劇団ひとり/山谷初男/中村嘉葎雄/原田芳雄/原田美枝子/中井貴一

30点満点中17点=監4/話2/出4/芸4/技3

【血の因果、魔物を斬る】
 戦乱続く東の地。武将・醍醐景光は、妻の胎内にいる我が子の身体を48匹の魔物に分け与える。引き換えに手に入れたのは、天下。そうして生まれた子・百鬼丸は呪術医に拾われ、出生の秘密を知らぬまま育ち、やがて自らの身体を取り戻すべく魔物たちを追うようになる。百鬼丸の左手に仕込まれた魔物斬りの剣を手に入れようと、彼に付きまとうのは“男”として成長した女盗賊どろろ。ふたりの旅路の果てには、血の因果が待っていた。
(2007年 日本)

★ネタバレを含みます★

【見た目はいいが、内容が……】
 原作は未読。かなり雰囲気の違うものになっているらしいが、これはこれで悪くない。思ったより上出来。

 黒をつぶしたコントラストと浅い色合い、中世日本をベースとしながらもしっちゃかめっちゃか詰め込んだ美術、荒野広がるロケーションに、弦と太鼓と笛をふんだんに使った音楽が乗っかって、無国籍な世界が作られる。
 そこでポンと表情に寄ってくれ、と感じる場面で寄らないなど、1シーンあたり1~2カット足りないようにも感じるが、トータルで観ると「まあまあイケてる見た目」だろう。

 たぶん、この雰囲気的工夫がなければ悲惨なものになっていたはず。
 だって、CGはカクカクしているし、魔物のデザインやアクションシーンは仮面ライダーなみだし。
 剣戟や頭に突き刺さる矢など、それなりに迫力を感じる部分も混じってはいるが、アクション時代劇としての見どころとなるはずのパーツが全体的に低クォリティ。それを覆い隠すためにも、なんとなく魅力的に見える無国籍テイストが、どうしても必要だったわけだ。

 やっぱカッコいい妻夫木聡、跳ねっかえりのオトコオンナをわかりやすく演じた柴咲コウ、貫禄の中井貴一と、出演陣もそれなりに味がある。もったいないのは原田美枝子の扱いで、役者的にも役柄的にも、もうちょっと見せ場を与えて欲しかったと思えるくらいのポテンシャル。

 と、いいところと悪いところとが鬩ぎあいながら、なんとか一定のデキをキープしているのだが、確実に足を引っ張っているのがシナリオ
 45分×10話くらいのボリュームが欲しい連続ドラマ向けストーリーの前半部を、無理やり2時間強にまとめたという感じ。さすがに無理があったようで、欠けてしまったものも多い。
 せっかく「人としての笑顔を取り戻した百鬼丸」という印象的なエンディングがあるのに、そこへとつながる“どろろの果たす役割”が描きこみ不足だし、多宝丸なんか「おいっ、それでいいのか?」っていうくらいコロっと心変わりするし。
 差別・被差別のシステム、異形のものの社会での位置付け、親から見た子の役割と子から見た親の役割、あるいは『ベルセルク』や『新造人間キャシャーン』あたりに影響を与えた世界観と作劇など、もっともっと面白いカタチにできそうな要素がいっぱいあるのに、それを上手く消化し切れなかった感もある。
 そして、見えているものをいちいちセリフで説明してしまう稚拙さ。

 責任を持って「これじゃダメ。もっと人間の業と関係性を描き、映画としての良さを生かすシナリオで!」といえる人の不在と、かけるべきところにお金をかけられなかったことが、本作を“そこそこ”レベルに押しとどめているように感じられた。

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