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2009/01/13

ホリデイ

監督:ナンシー・マイヤーズ
出演:キャメロン・ディアス/ケイト・ウィンスレット/ジュード・ロウ/ジャック・ブラック/イーライ・ウォラック/ルーファス・シーウェル/エドワード・バーンズ/シャニン・ソサモン/ミフィ・イングルフィールド/エマ・プリチャード

30点満点中17点=監4/話3/出4/芸3/技3

【その休暇が、ふたりの運命を変えていく】
 LAで映画予告編製作会社を経営するアマンダは、恋人イーサンの浮気を機に自宅交換サイトにアクセスする。彼女が2週間滞在することになったイギリスの田舎町、その家の持ち主は、ロンドンの新聞社に勤めるアイリス。彼女もまた、何年も思い続けたジャスパーが婚約したことを知って休暇と自宅交換を思い立ったのだった。アマンダはアイリスの兄グラハムと、アイリスは老脚本家アーサーや映画音楽作曲家のマイルズと知り合って……。
(2006年 アメリカ)

【安心して観ていられる夢物語】
 なんとまぁ“わかりやすい”映画だろう。ハナっから人間関係や状況をセリフで説明しまくり。役者たちは、戸惑い顔に笑顔に泣き顔に怒りと、かなりオーバーな表情で感情を表現する。
 ついでにチラホラと笑いを誘う場面も散りばめたりしてて、なんとなく、木曜の夜10時あたりのTVドラマのノリ。

 以後も総じて、わかりやぁすくわかりやぁすく流れていく。出会ったふたりの間に横たわる障害とか、男と女の事情とか、出会ったばかりだからこそ踏み込んでいける(あるいは逆に踏み込めない)展開とか、そして、ハッピーエンドとか。
 かなりベタ。登場人物は基本的にいい人ばかり(除くジャスパー)だし、あまり深く考えることなく安心して観ていられる。

 撮りかた的にも、ゆっくり動いて意味を作り出していくカメラなど手堅い作りで、そこに流行歌やハンス・ジマーの流麗な旋律が乗っけられて、やはり安心感たっぷりだ。

 ふむ、なるほど仕事や恋に疲れたOLさんたちに、気負いなく観てもらおうという意図がありあり。「罪悪感なしに好きなものを食べたい」とか「雑誌じゃなくちゃんとした本を読みたい」なんて、30代の女性の中にくすぶっているであろう欲求をアマンダにいわせたりして、対象となる年齢層の共感を呼ぶことに配慮した内容だ。

 キャメロン・ディアスとケイト・ウィンスレット、美しいけれどどこか不器用さを感じさせる主演ふたりも、観るものに憧れと親近感とを同時に抱かせるだろう。紳士的なジュード・ロウ、あまりイケてないけれどそばにいると楽しそうなジャック・ブラック、そして蓄積された知識で自然と導いてくれる脚本家アーサーのイーライ・ウォラックと、「こんな人が近くにいればなぁ」と感じさせる周辺キャラクターたち。
 どこまでも収まりのいい、ある意味、罪のない映画だ。

 まぁ「泣いたことがない」というアマンダの設定が取ってつけたような感じだったり、両ヒロインともにクリエイティヴでハイソな世界の住人だったりしてリアリティは薄い。全体として“都合のいい夢物語”の域を出ていないとも思う。でも、一定の仕上がりというか、伝えたいことを観る人にスっと染み込ませる映画にはなっている。
 そういう意味では成功している作品だろう。

 つまり「人生も恋も単純。そう、何十年も前の映画で描かれたシンプルなラブ・ストーリーのように。だから思うがままに突き当たってみればいい。その一歩を踏み出すキッカケは、いまいる場所から少し離れて自分を解放することにあるのかも知れませんよ」というメッセージ。

 とはいえ、世のOL様方、残念ながら皆さんはキャメロン・ディアスにもケイト・ウィンスレットにもアマンダにもアイリスにもなれないし、ジュード・ロウやジャック・ブラックやグラハムやアーサーやマイルズにもそうそう簡単には出会えないということをお忘れなく(ちょっとイジワル)。

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