スパイダーマン3
監督:サム・ライミ
出演:トビー・マグワイア/キルステン・ダンスト/ジェームズ・フランコ/トーマス・ヘイデン・チャーチ/トファー・グレイス/ブライス・ダラス・ハワード/ジェームズ・クロムウェル/ディラン・ベイカー/ビル・ナン/クリフ・ロバートソン/ジョン・パクストン/パーラ・ヘイニー=ジャーディン/エリヤ・バスキン/マゲイナ・トーヴァ/ローズマリー・ハリス/J・K・シモンズ
30点満点中16点=監4/話2/出3/芸3/技4
【過酷な現実がスパイダーマンを苦しめる】
スパイダーマンは社会から愛されるようになり、その正体であるピーター・パーカーは学業順調、恋人MJとの仲も睦まじく暮らしていた。だが、親友ハリーとのわだかまりは解けぬまま、新人カメラマン・エディとの就職争いも勃発、サンドマン=フリント・マルコという強敵も現れ、舞台女優としてのMJの仕事にも暗雲が漂い始める。さらに襲い掛かる、宇宙からの黒い危機……。恋、友情、因縁、憎悪の渦がスパイダーマンを苦しめる。
(2007年 アメリカ)
【ちょっと足りないデート・ムービー】
第1作は「ポテトチップスでもつまみながら観る」映画、第2作は「ニヤニヤハラハラの青春ヒーロー活劇」だった。まぁそれぞれに楽しさや見どころはあったのだけれど、第3作目にしてようやく気づいたのは「要するにこのシリーズって、デート・ムービーなのね」ということ。
相変わらず荒唐無稽だが「なんも考えずにハラハラ&やきもき」するにはピッタリの、波乱万丈なストーリー展開。一本調子だった第1作、ドラマティックではなかった第2作と比べて、恋、友情、新たな悪、『遊星からの物体X』に新人カメラマンと、これでもかとばかりに荒れる要素を詰め込んでギッシリ感満載かつ緩急自在だ。もう何がどうクライマックスだかわからんノリに仕上げてある。
ほとんどアトラクション。退屈なし。つまりデート向き。
詰め込みすぎで強引でもあるんだけれど、本シリーズの象徴でもある例のキスシーンを今回も生かして連続性を保ちつつ、第2作同様「ここまでの経緯をクドクド説明してストーリーのリズムを損なう」という愚を犯さず、スッキリとまとめた点もエライ。
トータルの作りとしても、夜間や地下での戦いを中心にすることでCGのスピード感は飛躍的にアップ、かなり広い範囲で交通を規制して撮影したと思しきシーンも結構あって、丁寧に手間ひまかけて撮っているなぁ、スケール感の創出に気を遣っているなぁとも感じさせる。
3部作の完結編(?)としては、まずまずのデキだろう。
ただ、デート・ムービーとしてはちょっと暗め。今回はニヤニヤ要素がほとんどといっていいほどない。詰め込みすぎたために広げた風呂敷を畳み切れなかったし、2時間20分という、アクション・デート・ムービーとしては長めの尺になった点もマイナスだ。
それと、スパイダーマンの能力の特性上、ビルの谷間の空中戦から脱却できないというのも本シリーズが“突き抜ける”ことのできない要因だろう。サンドマン&寄生体という特異なキャラクターを登場させたまでは良かったものの、結局はこれまで通りのビュンビュン・バトル。このあたりのアイディアに、もう少し新鮮味が付与されていれば、と感じた。
ま、サム・ライミが撮るデート・ムービーという、ある意味トンデモ映画なんだから、あまり細かな突っ込みを入れるべきじゃないんだろう。前述の通り、なんも考えずにハラハラ&やきもきはできるんだし。
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